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今日10日、気象庁は「エルニーニョ監視速報」を発表しました。それによりますと、ラニーニャ現象に近い状態は弱まり始めており、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態と見られます。この先は、ラニーニャ現象に近い状態がさらに弱まるため、夏にかけて平常の状態が続く可能性が高くなっています(60%)。
●2月の実況
ラニーニャ現象に近い状態は弱まり始めており、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態と見られます。
2月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は+0.2℃で、基準値に近い値でした。また、ラニーニャ現象発生の判断に使用している5か月移動平均値の12月の値は-0.2℃で、基準値に近い値でした。
太平洋赤道域の海面水温は西部で平年より高く、東部で平年に近くなりましたが、中部では平年より低くなりました。太平洋赤道域の海洋表層の水温は西部で平年より高い一方、中部から東部では平年より低くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発で、太平洋赤道域の大気下層の東風(貿易風)は中部で平年より強くなりましたが、東部では平年より弱くなりました。
このような大気と海洋の状態は、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態と見られ、ラニーニャ現象に近い状態は弱まり始めていることを示しています。
●今後の見通し
ラニーニャ現象に近い状態はさらに弱まり、夏にかけて平常の状態が続く可能性が高くなっています(60%)。
実況では、太平洋赤道域の海面水温は東部で平年に近くなりましたが、中部では平年より低くなりました。また、中部から東部で海洋表層の冷水が継続しています。大気海洋結合モデルは、今後、太平洋赤道域は、ラニーニャ現象に近い状態はさらに弱まり、エルニーニョ監視海域の海面水温は夏にかけて基準値に近い値で推移すると予測しています。
以上のことから、ラニーニャ現象に近い状態はさらに弱まり、夏にかけて平常の状態が続く可能性が高くなっています(60%)。
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●ラニーニャ現象とは?
「ラニーニャ現象」が発生するのは、太平洋赤道域です。このあたりは貿易風と呼ばれる東風が吹いているため、通常、暖かい海水は西側のインドネシア付近に吹き寄せられる一方、東側の南米沖では、海の深い所から冷たい海水がわき上がっています。
ただ、何らかの原因で東風が強まると、西側の暖かい海水が厚く蓄積するとともに、東側にわき上がる冷たい海水の勢いが強まり、南米沖の海面水温が通常より低くなります。このように、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて、海面水温が平年より低くなり、その状態が1年程度続く現象を「ラニーニャ現象」と呼びます。
「ラニーニャ現象」は海で起こる現象ですが、発生すると大気にも影響を及ぼし、世界各地で気圧配置などがいつもとは違った状態になります。雨や雪の降りやすい場所や、風の吹き方、気温などが変わってくるのです。
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