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岩手県大船渡市で起きた大規模山林火災で被災し、家などを失った住民らの生活再建に向けた行政の支援が動き出した。14日には損壊した住宅や倉庫などの罹災(りさい)証明書の発行手続きが始まったほか、一部地域で続いていた断水も復旧。避難所では21日期限の応急仮設住宅などの住まいの意向調査も行われ、住民らは生活再建に向けて一歩を踏み出した。
14日は同市役所本庁舎(盛町)と綾里地域振興出張所(三陸町綾里)の2カ所で、被災者が公的支援を受けるために必要な罹災証明書の発行が始まり、同日午後3時までに綾里・赤崎両地区の住民計71人が足を運んだ。
本庁舎では訪れた住民が書類を書き込んだ後、1組ずつ窓口に案内され、罹災証明書を受け取った。市の調査では、建物被害は住宅や空き家、作業場など計210棟。それ以外の市が把握していない被害が申請された場合、現地調査後に発行されるという。
全壊した自宅の罹災証明書発行を済ませた三陸町綾里の炭釜(すみがま)茂さん(71)は「2011年の東日本大震災で罹災証明書が役に立ったので、今回はすぐ来た。(申請の手間は)そんなでもない」と笑顔を見せた。一方で「(住宅も家財も)全部無くなってしまい、今着ている服が一張羅。火事は恐ろしい」とも話した。
市は14日夜、避難所2カ所で住宅について説明会を開催。綾里・赤崎地区の住民計75人が参加した。建設型仮設住宅は5月上旬ごろ▽公営住宅は4月中旬ごろ▽民間の賃貸住宅を活用した「みなし仮設住宅」は4月上旬ごろ――という入居開始時期の予定が示された。21日に締め切る住民の意向調査から、各世帯のニーズを把握し対応するという。
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市住宅管理課によると、仮設住宅は県と調整中だが、工期が短い長屋形の建設を予定している。公営住宅については「早い者順ではなく、まず優先入居者を決め、決まらなければ抽選となる」。みなし仮設は「不動産業者から自力で探してもらい、県と貸主、入居者の3者契約となる。(住まいの確保手段としては)一番早い」と説明している。
14日には水質検査の結果安全が確認されたとして、市は綾里地区全域と赤崎町合足で続いていた断水を解除。また、空中からのヘリコプターによる大規模な消火活動の必要がなくなったとして同日、岩手県に自衛隊撤収を要請した。今後は県の防災ヘリコプターなどで対応するという。
市内では9日に鎮圧が宣言されて以降も、白煙の目撃情報や山中に残る火災による熱源への放水が続いている。市は「広範囲のため、一つずつつぶしていくのに時間が掛かっている」と説明、鎮火の見通しは現時点で立っていないという。【西本紗保美】
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