限定公開( 32 )
同性同士の婚姻を認めていない現行の民法や戸籍法の規定について、憲法に反するかが争われた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は25日、法の下の平等を定めた憲法14条1項と、個人の尊厳と両性の平等に基づいた家族法の制定を求める24条2項に違反すると判断した。本多久美子裁判長は「個人の尊厳を著しく損ない、性的指向による不合理な差別だ」と述べた。
札幌や東京、福岡、名古屋を含む5高裁の判断は全て違憲でそろった。最高裁が今後、統一判断を示すとみられるが、国会に同性婚の法制化を強く促す形となった。
大阪訴訟では京都や香川、愛知の3府県で暮らす同性カップル3組6人が、同性婚を認める立法措置を怠ったと訴え、1人当たり100万円の慰謝料を国に求めていた。
大阪高裁判決はまず、性的指向は自己の意思によって左右できず、同性カップルが法的保護を受けながら協力して生活していくことは異性カップルと同様に重要だと指摘。現行制度が利用できない不利益は著しく大きいと述べ、「(異性婚との)差異をやむを得ないものとして正当化できる根拠は見いだしがたい」と判断した。
同性婚に対する社会の認識についても検討。世論調査などから法制化を受け入れる環境が整っており、倫理・道徳に反するものではないとする考えが確立していると分析した。これらを踏まえ、異性婚のみの保護を目的とした現行制度について「性的指向によって区別しており、平等原則に反している」と結論付けた。
|
|
一方で、国会が正当な理由なく法制化を怠ったとは言えないと指摘。1審・大阪地裁判決(2022年6月)同様に国の賠償責任については否定し、カップル側の控訴を棄却した。1審判決は同種訴訟で唯一、「合憲」と判断していた。
一連の訴訟は全国5地裁に6件起こされた。高裁レベルでは東京地裁に追加提訴した当事者の訴訟が東京高裁で審理されている。【土田暁彦】
「最高裁で覆すのは難しいのでは」
二宮周平・立命館大名誉教授(家族法)
5高裁が違憲としたことで、高裁レベルの考えが固まったといえる。性的指向は生まれながら変えられないことから、同性カップルの排除はもはや理由にならない。大阪高裁判決も個人の尊厳や平等の観点から堅実に判断しており、最高裁で覆すのは難しいのではないか。同性婚を認める立法を強く促すメッセージといえ、国会は敏感に感じ取らなければならない。
|
|
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 THE MAINICHI NEWSPAPERS. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。