2024年F1アブダビテスト 角田裕毅(レッドブル) レッドブル・レーシングは、次戦F1日本GPで、リアム・ローソンをレーシングブルズに戻し、代わりに角田裕毅をマックス・フェルスタッペンのチームメイトに起用するかもしれない。フェルスタッペン家と近い間柄にあるオランダメディアは、レッドブルはすでに決定を下しており、今週末までの間に正式な発表がなされると伝えている。
今年、自身初のF1フルシーズンをレッドブルとともにスタートしたローソンは、ここまでの2戦では、マシンに予想以上に苦しみ、期待には遠くおよばない結果に終わった。オーストラリアとスプリント制の中国の3回の予選において、すべてQ1敗退、決勝ではポイント圏内に入ることができなかったのだ。この結果により、チーム代表クリスチャン・ホーナーは、経験の浅いローソンをレッドブルに起用したことが誤りだったと確信したといわれる。
角田がレッドブルに移籍するなら、それは彼のF1キャリアのなかで最大の飛躍となる。日本出身のドライバーがグランプリで優勝するポテンシャルを持つマシンに乗るのは、2004年に佐藤琢磨がジェンソン・バトンとともにBARホンダで戦って以来になるだろう。オランダメディアは、ホンダがそれを実現するため、レッドブルに対して年末まで追加の資金提供を行うことに同意した、と報じている。
中国GPの週末、角田は日本GPでレッドブル・レーシングに移る可能性について質問された際に、「はい、100パーセント準備はできています。その(レッドブルの)マシンの方が速いですから」と答えた。角田はその直後、レーシングブルズの広報担当者によって素早くメディアの前から移動させられた。
この時点で角田は、レッドブルが過去のドライバーに関する決定のなかで最も厳しい判断を下そうとしていること、ローソンがシートを失う深刻な危機にあることを認識していたように思われる。また、レッドブルがこの件について完全な否定を行なっていないという事実は、このうわさに真実が含まれていることを示している。
ローソンを外す意図が全くなかったのであれば、レッドブルは今回の報道が出た時点で決然とした声明を発表し、報道を非難し、否定していたはずである。レッドブルとしての本来の最優先事項は、若きローソンを守り、彼に自信を持たせることだからだ。だが彼らはそれをしていない。
本当に角田がレッドブルに移籍するなら、それは彼の人生において一度しか訪れない、最大のチャンスとなる。しかしこの機会は、必ずしも彼のキャリアにとってすべてプラスに働くとは限らない。
状況を考えると、角田がレッドブルに乗って日本GPから上位で走ることを期待するのは現実的ではないだろう。だが、角田が早い段階でトップ争いに加わり、大きく先行しているマクラーレンは別として、フェラーリやメルセデスに挑むことができれば、レッドブルに来年以降も残留する可能性が高まる。
しかし、フェルスタッペンに接近することができず、わずかなポイントを獲得するにとどまり、また、ピットストップのタイミングを使ってフェルスタッペンのライバルたちを妨げてチームメイトを助けるといったこともできなければ、レッドブルは角田のこともいずれ外すだろう。
そして角田の場合は、レーシングブルズに戻されることはない。2026年以降もF1に残るためには、別のチームを見つけなければならなくなる。つまり、レッドブルへの移籍は、彼のキャリアを成功に導くか、あるいは終わらせるかの分岐点をもたらすことになるだろう。
[オートスポーツweb 2025年03月27日]