
4月2日(水)のテーマは「アメリカZ世代の分断を煽っている? ニュース・インフルエンサー戦争とは?」。従来のメディアとは異なった軸で日々のニュースを発信している“ニュース・インフルエンサー”と呼ばれる人々について、ラボのZ世代が話し合いました。
※写真はイメージです
◆保守派・リベラル派に分かれて過熱する“ニュース・インフルエンサー”
4月に入ってからも、アメリカは引き続き、トランプ政権が進める関税などの問題で激動しています。そんな日々のニュースを得るために若者たちがチェックしているのが、ニュース・インフルエンサーたち。日本ではまだ聞きなじみのない言葉かもしれませんが、SNSやストリーミングで活躍するニュース・インフルエンサーとは、いったいどのような存在なのでしょうか。
アメリカの成人の5人に1人は、ニュースをSNSやポッドキャスト、ストリーミングなどでキャッチしていると言われています。こうしたオンラインプラットフォームでニュースを発信するのが、ニュース・インフルエンサーたち。プロのジャーナリストもいれば、元コメディアンや一般人のコンテンツ・クリエイターも存在するなど、さまざまです。
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シェリー:保守派の若いニュース・インフルエンサーといえば、まずベン・シャピーロが有名だよね。
メアリー:彼はそんなに若くないけどね。彼がやっている「デイリー・ワイヤー」はかなり影響力がある。エイデン・ロスやアスモンゴールドのようなストリーマーは、若い人たちに大きな影響力を持っていると思う。
シェリー:かたや、リベラルでは今「マイダス・タッチ」のポッドキャストが話題になっているね。
メアリー:そうそう。あのジョー・ローガンのポッドキャストよりも視聴者数が多かったやつだよね?
保守派のニュース・インフルエンサーの代表格は、ベン・シャピーロ、エイデン・ロス、アスモンゴールド、そしてポッドキャスト界のキング、ジョー・ローガン。トランプ大統領をゲストに迎えた回はYouTubeで5000万回以上も再生され、トランプ当選を後押ししたと言われています。
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実はこうしたリベラル・プログレッシブのプラットフォームが、若者の強い支持を得るようになったのは、トランプ氏が勝って政権を得てからです。強烈なトランプ批判を繰り広げるコンテンツを求める若者がそれほど多いということですが、こうしたニュース・インフルエンサーのなかには、実際にトランプ氏からの攻撃を受けている者もいます。
同じように、その番組を見ていることが周りに知られるだけで、ネット上でいじめにあう可能性があることを懸念するZ世代もいます。

(左から)ミクア、シェリー、ヒカル、ノエ、シャンシャン、メアリー/©NY-Future-Lab
◆旧来のメディアとニュース・インフルエンサー、どちらを信用する?
こうしたニュース・インフルエンサーによるポッドキャストやYouTubeチャンネルは、伝統的なニュースメディアをしのぐ大きな人気を得ています。いったい、なぜでしょうか?
ノエ:ソーシャルメディア・プラットフォームがニュース・プラットフォームであることは間違いないと思うよ。そうなった理由として考えられるのは、例えばAmazonのオーナージェフ・ベゾス。彼は「ワシントン・ポスト」紙のオーナーでもあるよね。
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メアリー:それは見ていないけど、ジェフ・ベゾスはカマラ・ハリスを支持すると決まっていた社説を直前で取り下げたんだ。トランプの就任式にもVIPで出席していたしね。彼が何を考えているかはもう明らかだよ。
ノエ:でもそれっておかしいと思わない? 億万長者や政府の高い地位にいる人たちは、そういう厚かましいやり方を、もう隠そうともしなくなった。国民の教育や自由を奪い、平和を求める発言を堂々と検閲するようになった。
政府も信頼できなければ、ビリオネアたちも全く信用できない。彼らが仕切るようになったメディアも全く信頼できない。そうした思いが、ネット上のニュース・インフルエンサーに向かわせていると言う意見が飛び出しました。
では彼らは、ニュース・インフルエンサーが発信する情報を全面的に信用しているのでしょうか? ラボのメンバーに再び聞いてみました。
ノエ:マスメディアの大規模な運営にはスポンサーが必要だし、多くの支援も必要だよね。だから政治家とか団体に買収される可能性がある。でも小規模で独立した記者やコンテンツ・クリエイターは、ただそれを作りたいから作っている。でも彼らも100%信頼できるとは思っていないよ。
とはいえ伝統的なメディアよりも面白いし、コンテンツも幅広くて多様性がある。オンライン・コンテンツというものはそもそも、たとえ自分の価値観や考え方を反映するものであっても、100%信用できないことはわかっているけどね。
メアリー:伝統的なジャーナリズムを全く信用していないわけではないよ。ジャーナリズムの基準というのは、起こったことを正しく報道することであって、話を作ることではないよね。物事をどう見るかについては、常にバイアスがかかっている。
だから、もともと100%信頼なんてしていない。でも全く信頼できないとは思っていないよ、彼らは今でも何が起こったかについて、しっかり伝えてくれているからね。
スポンサーやオーナーにコントロールされがちなマスメディアや伝統的なジャーナリズムに比べ、ニュース・インフルエンサーは自由にさまざまな情報を発信しているのがいいところ。しかし、全てが正しいとは思っていない。
逆に伝統的なメディアも100%信頼はしていないけれど、全く信頼していないわけではない。ニューヨークのZ世代は、本当に正しい情報を得るために、微妙なバランスで新旧のメディアの間を泳ぎ回っているようです。
シェリーは「一方では、ニュース・インフルエンサーのファクトチェックされていない内容や、極端な意見に引きずられる人も少なくないことも事実です」ともコメントし、話題を締めくくりました。
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4月2日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2025年4月10日(木) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:NY Future Lab
放送日時:毎週水曜日18:40〜18:55放送
出演:シェリーめぐみ
番組Webサイト: https://www.interfm.co.jp/nyfutureweb
特設サイト:https://ny-future-lab.com/
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