
2025年4月より始まったドラマ『彼女がそれも愛と呼ぶなら』(読売テレビ・日本テレビ系、木曜午後11時59分)にてテーマ化されているポリアモリー(複数恋愛)。同ドラマでは、2人の恋人・到(丸山智己)と亜夫(千賀健永)、さらに高校1年生になる娘・千夏(小宮山莉渚)と共同生活を送るシングルマザーの伊麻(栗山千明)が、大学院生の氷雨(伊藤健太郎)と出会うことで、恋愛関係を築いていく様子が描かれています。同ドラマ以外にも、すでに実際にポリアモリーを実践している人がメディアに登場する機会もあり、世間でのポリアモリーの認知も徐々に広がりを見せています。
【写真】回を重ねるたび参加者も増加…ポリアモリーイベントの様子
一方で、ポリアモリーという関係そのものについての理解が追い付いていない人は少なくありません。そこで2021年からポリアモリーに関して学ぶ機会を提供している「ポリアモリーウィーク実行委員会」の発起人である梨谷美帆さんに話を聞きました。
ーポリアモリーウィーク開催の経緯を教えてください。
ポリアモリーウィークを開催する以前から、ポリアモリーを実践する人や関心のある人が集まり、悩みや疑問について話をする機会はありました。ただ、悩みや疑問を話をするのがメインで、せっかくシェアした体験や悩みを何かしらの形で残すことができていなかったんです。
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さらに、ポリアモリーについて話をするなかで「恋愛とは」「人間関係とは」と、より抽象的な内容や、学術的な内容を学びたいという声もあがるようにもなってきました。当事者が話す内容を何かしらの形で残したり、より学術的にポリアモリーを学べる場が必要であろうと思い、ポリアモリーウィークを始めました。
ーそもそもポリアモリーとはどのようなものなのでしょうか
ポリアモリーウィーク実行委員会では、ポリアモリーを「関係者の合意のもとで複数の親密なパートナーシップを営むライフスタイル、関係様式」とお伝えしています。特に大事にしているのが、「関係者の合意のもと」と「ライフスタイル、関係様式」である点です。
ポリアモリーの話をすると、不倫や浮気と混同して捉える人もいます。ただ、不倫や浮気は関係者の合意が形成できていないという点で、ポリアモリーとは一線を画します。
ー5年間開催していて感じる変化はありますか
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世の中的には、ポリアモリーという単語が登場する機会が増えたなと感じています。5年前にSNSで検索しても、数日に一度しか表示されなかったものが、今では毎日のようにヒットするようになっています。ポリアモリーウィークでも回を重ねるごとに参加者がじわじわと増加しており、認知の広がりを感じています。
ー参加者からはどのような声があがっていますか
ポリアモリーを実践している人や関心のある人は、世間的には少数派です。それもあってか、参加された方からは「こういう話ができる場があるのはありがたい」という声をよく聞きます。
今回初めて参加された方からは「参加する前はもっと性的な話なのかと思う部分もあったが、自分に正直に生きる道を真摯に模索している人たちだと知って感動した」という話も伺いました。
確かに複数愛について語るのは、今の社会の中では風当たりが強いのだと思います。ただ、ポリアモリー実践者が体現しようとしているのは、相手を独占しないという感覚です。この感覚を正直に表現できる場が少しでも増えればと考えています。
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◆梨谷美帆(なしたに・みほ)臨床心理士/公認心理師。多様な人の生きづらいをもっと楽に!をモットーに、クィア/セクマイフレンドリーなカウンセリングルーム「カウンセリング・ラボSORA」を運営。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)