北村匠海「あんぱん」(C)NHK【モデルプレス=2025/04/12】NHK連続テレビ小説「あんぱん」(毎週月〜土あさ8時〜ほか)に出演する俳優の北村匠海(きたむら・たくみ/27)に、モデルプレスらがインタビュー。戦争シーンの裏話や壮絶な役作りに迫った。<Vol.2>
【写真】北村匠海、殺人鬼役で狂気の演技
◆今田美桜ヒロイン連続テレビ小説「あんぱん」
今作は、“アンパンマン”を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルに、生きる意味も失っていた苦悩の日々と、それでも夢を忘れなかった2人が、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどり着くまでを描く愛と勇気の物語。
ヒロイン・朝田のぶを今田美桜、のぶの夫・柳井嵩を北村が務める。
◆北村匠海、戦争シーンで感じた過酷さ
― 軍服に袖を通して戦争シーンを撮影したことで感じたことをお聞かせください。
北村:戦争というものは悪だと思いました。「あんぱん」の現場なので明るくて温かい雰囲気ではあるものの、軍事所作指導の方の丁寧な指導を受けながら撮影をしていると、リアルな辛さが演じている僕らの間に漂い、全てが大変です。声量から姿勢まで何をとっても感情を殺して個性をなくさなければいけなくて、嵩にとっては窮屈に感じる部分もありました。入るときも着帽して、右手で開けて…というように箇条書きで書かれたことをなぞるような毎日なので、すごく大変ですが、この時代だからこそしっかりと描かなければいけないと思っているので、身を持って臨んでいます。
◆北村匠海「乾パン1つ」壮絶な役作り
― ストイックに戦争シーンに向き合っていたとお聞きしましたが、具体的にどのような準備をして撮影に臨んだのか教えてください。
北村:体重の増減は作品を通してずっとやっています。例えば、学生時代の嵩は骨の細さを見せたいので高知でのクランクイン初日から痩せているのですが、美術学校に行き東京に出ると新しい出会いや東京の景色への充実感を感じさせるように結構体重を増やしました。そこからの戦争で、まずは復員兵だったので、8キロくらい走って、お風呂に入って汗を抜いて、次のシーンに乾パン1つで挑むようなことを毎日していました。体重は測っていませんが、かなり落ちていたと思います。みんなも付いてきてくださって、足並みを揃えて取り組んでいました。僕は役へのアプローチとして、絶食したり体重を微増したりするのはよくやっているので慣れてはいましたが、戦争なので最終的には水も抜きました。
大変なのは、一言に戦争と言ってもずっと飢えているわけではないということ。最初は食料があり訓練もしているので少し骨太な感じも必要で、そこから次第に食料がなくなって乾パンが3つになり、1つになり、最終的にはたんぽぽの根っこを食べたりするようになっていくんです。撮影上、1日の中で減っている状態と元気な状態のどちらも求められることがあるので、瞬間的に炭水化物を摂取して目に活力を宿したりしていました。それがどのように画に映っているかはわかりませんが、自分たちのメンタリティの問題で、やはり飢えを経験したかったですし、経験しないと説得力は生まれないと思っています。「アンパンマン」誕生に至る、食べ物への考え方など、この先の柳井嵩を作り上げるいろいろな要素が詰まっているパートなので、極力リアリティを持って向き合いたいと考えています。
◆北村匠海、戦争シーンは「感情は皆無」
― 今田さんとのシーンでは受けのお芝居を意識されているとのことですが、男性ばかりの戦争シーンではどのようなお芝居を考えていましたか?
北村:軍隊なので感情を殺していかなければいけません。少しでも腑抜けた瞬間があると指導される世界なので、攻め受けは度外視の場所です。嵩は戦争の中で軍隊の訓練や戦地での経験、敵・仲間の死に直面することで達観していくので、その姿を精一杯演じています。目線や姿勢、帽子の角度まで決められて、感情は皆無で、しんどいです。嵩も僕も息苦しい中でも殴られるのは嫌だからちゃんとやるし、「早く高知に帰りたい」と思いながら戦争に真摯に向き合っています。みんなで軍事訓練も受けましたし、それぞれブーツやゲートルも自分で着用しており、リアリティがあると思います。
― 今田さんがいらっしゃらない戦争シーンは、北村さんがある種座長の立場になると思うのですが、どんなことを意識していますか?
北村:確かに、戦争パートは自分が座長の気持ちでいました。でも僕が引っ張っていくというよりは、スタッフさんも含めみんなで会話を多くしたいタイプなので、そういう意識を持っていました。戦争シーンは「あんぱん」の色がなくなればなくなるほど面白いと思うので、別作品のような雰囲気で、今田さんが座長としていらっしゃるときの雰囲気は一旦捨てて、柳井嵩という人間が主演の戦争作品をやっているという気持ちでいました。
― 朝田家のシーンなど楽しい場面と雰囲気が違うのでしょうか?
北村:キャスト陣は人が移り変わっていくので空気感も変わっていくのですが、スタッフチームは変わらずにいてくれるので現場全体の空気としては温かさがずっとあります。明るさだけではなく苦しい部分も描かなければいけないのですが、スタッフさんもすごく寄り添ってくれて、前室に戻るとメイク部が涙を流していたこともあります。僕は前室が好きで、いまだに楽屋に一度も入っていないのですが、スタッフさんと話していると、みんなが楽しそうに仕事をしていて、良い現場だと感じます。
★Vol.3に続く!
(modelpress編集部)
◆北村匠海(きたむら・たくみ)プロフィール
1997年11月3日生まれ、東京都出身。映画「君の膵臓をたべたい」(2017)で第41回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。近年はドラマ「教場」シリーズ(フジテレビ系/2021、2023)、「にじいろカルテ」(テレビ朝日系/2021)、「アンチヒーロー」(TBS系/2023)、「幽☆遊☆白書」(Netflix/2023)、映画「東京リベンジャーズ」シリーズ、「明け方の若者たち」(2021)、「法廷遊戯」(2023)、「悪い夏」(2025)など数々の話題作に出演し、2025年2月には初監督作品「世界征服やめた」が公開された。
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