東北新幹線の次期車両E10系の外観イメージ(JR東日本提供) 【ニューデリー時事】インド西部で建設が進む日本の新幹線方式を導入した高速鉄道の運行車両に、JR東日本の次期新幹線「E10系」の採用が固まった。投入は2030年代初頭を見込む。モディ首相の来日と日印首脳会談に合わせ、最終決定される見通し。会談時期は8月が候補の一つ。関係者への取材で14日、分かった。
E10系の運行に必要となる日本式信号システムを担う事業者の選定方法を巡り、日印当局者間で調整が続いている。近く、事業主体のインド高速鉄道公社も交え、関係する日本企業にヒアリングを行う方針。
E10系は日本では30年度の営業運転開始を目指しており、ほぼ間を置かずインドに投入する。24編成(1編成10両)の調達を想定し、一部はインドでの現地生産も見込まれている。
E10系が導入されれば、事業費が想定より膨らむ見通しのため、新たな円借款の枠組みを創設する方針だ。車両設備のほか、駅周辺の開発などにも使えるようにする。金利は今後決める。
インド政府は27年8月に一部区間での営業運転開始を目指している。E10系到着まで、速度を引き上げる改造を施したインドの準高速列車「バンデ・バーラト」を運行させる予定。
車両は現在主力の「E5系」の採用が既定路線だったが、「国際水準よりだいぶ高い」(インド政府筋)見積もりや納入時期の遅れにインド側が難色を示し、自国製の車両使用に方針転換しつつあった。しかし、日本としては政府肝煎りかつ日印の「旗艦プロジェクト」への日本製採用は譲れなかった。
昨年末の交渉で、局面打開に向けた「切り札」としてE10系採用を提案。インド側が受け入れる意向を示していた。日本式信号システムの敷設完了とE10系の投入時期が重なることも提案の理由となった。

建設工事が進むインド高速鉄道のサバルマティ駅=2024年12月24日、西部グジャラート州アーメダバード

インドの準高速列車「バンデ・バーラト」=2024年12月19日、ニューデリー駅