「カラコンは?」「マグネットネイルは?」今、MRI検査で危険なモノがたくさん  タトゥーで火傷の事例も…診療放射線技師に聞いたダメなものとは

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2025年04月16日 07:00  まいどなニュース

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機械の中に入っていき検査開始。約20〜30分間の静止が必要(いらすとや)

「X線の時は柄もの・ブラもダメなの?」「マグネットネイルはMRI注意」「コンタクトやメイクはMRIいける?」「X線はヒートテック大丈夫だけど、MRIは脱がないといけないらしい」とSNSで見かける疑問の声。はたして何が正解なのか取材しました。

【写真】検査で避けた方がいいものとは?

新年度が始まり、会社の健康診断や自治体のガン検診などの予約がスタートする季節。受診当日は、病院からの指示や検査の内容をふまえ、できるだけ脱ぎ着しやすい服装を心がけますが、一体何に気をつければ良いのか明確に認識できていないこともしばしば。

特に、肺のエックス線検査時には「貴金属はすべて外し無地のシャツ1枚に」「金具の付いた下着は禁止」といった貼り紙には見覚えのある方も多いはずです。ただ、詳細な検査が必要となった際に受ける「MRI」を撮影する時の注意事項については、あまり知らない人も多く、ケガをしてしまう可能性も。

そこで、一般社団法人 日本磁気共鳴医学会(東京都港区)の安全性評価委員であり、社会医療法人 高清会 高井病院(奈良県天理市)の診療放射線技師である𡈽井 司さんに、MRI検査での注意点、エックス線検査との違いについて聞きました。

MRI検査は鉄分がNG、発熱の危険性あり

――「MRI検査」は、どういった検査なのでしょうか?

MRIは、「磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging)」という検査方法です。強力な磁石とFMラジオに使われているような電波(ラジオ周波数パルス)を使って、人体を構成する水素原子の信号を画像化する検査で、身体のさまざまな方向の断面が撮像できます。 

――妊娠中でも受けることができますか? 

ラジオ周波数パルスによる発熱の危険性がありますので、妊娠中の被検者(特に胎児)に対するMRI検査の安全性は保障されていません。特に、MRI検査を施行しないと治療方法が見い出せない場合を除いて、妊娠中のMRI検査は避けた方が良いです。 

――施設によっては検査着を用意されていることもあるかと。無い場合はどのような服で検査を?

検査着の準備がない施設で受けられる場合は、金属や装飾品の付いていないゆったりとした無地のトレーナーとジャージを持参することを推奨します。

――無地であることが大切、と。

MRI検査は、いまだに想定外の製品から被検者に障害を負わせる事例が報告されていますので、身に付けているものはすべて外していただくのが原則です。

手術などの経験があって、体内にペースメーカーやステントなどが入っている場合には、必ず申し出てください。体内に植え込まれている器具によっては、MRI検査ができない場合があります。 

MRIは磁石に吸引される金属やラジオ周波数パルスによって発熱する製品を身に付けていると、障害を受ける危険性があります。世の中に広く販売されている一般的な製品にも、鉄分を含まれているものが多くありますので注意が必要です。

――知らず知らずのうちに鉄分を含むものを身につけている可能性があるのですね。

メイクやつけまつげ、頭髪ファンデーション、コンタクトレンズでもカラーコンタクトやファンションレンズには、鉄分が入っているものがありますので発熱の危険性があります。特に顔面や眼は生活における重要器官ですので、被検者が障害を負っては困ります。 

ネイルも外していただくのが原則です。磁石によって模様を施されている場合はデザインが変化(変色)する可能性があります。どうしても外せない場合には、吸引されないように対応して検査ができないこともありませんが、発熱によって障害を受ける可能性を承知のうえでMRI検査を受けていただくことになります。 

――メイクやネイルは基本的にオフして受けるのが安心ですね。タトゥーは?

タトゥー(アートメイク)は発熱によって火傷を負った事例が報告されていますが、身体から除去できませんので、被検者に火傷の危険性と変色する可能性を十分に伝え、承諾を得たうえで検査を実施します。もし検査中に熱さや異常を感じたら、すぐにブザーで異常を知らせていただけるようになっています。 

――ヒートテックなどの「吸湿発熱素材」も着用NGといった表示を見かけます。

吸湿発熱素材の衣類そのものに発熱作用はなく、着用しているとラジオ周波数パルスによる発熱が発汗を促し、そのためにより身体がポカポカ(熱く)感じることがあります。さらに皮膚と吸湿発熱素材の間に存在する汗(水分)が点接触となり、そこに誘導電流が流れると火傷の原因になります。

必ずしも脱衣が必須ではありませんが、吸湿発熱素材は発熱の誘因となることは明確ですので、そのことを理解していただく必要があります。そのような理由から衣類を必ず脱いで検査をしている施設もあります。

――事前にしっかりと申告し、相談しておくと安心ですね。他に注意すべきものは?

湿布など貼布剤も、身体との接触部分で発熱の可能性がありますので外す必要があります。最近装着されている方が多い「持続血糖測定器(リブレ)」にも注意が必要です。身体に影響がなくてもリブレ本体が破損しますので、MRI検査後は使用不可となります。

健康診断など急ぐ必要のないMRI検査では、リブレをはじめネイルなどを付け替えるタイミングでMRI検査を予約されるのが推奨されます。 

――画像検査時、不安なことや撮影時の体勢のことなど、心配な場合はどうしたら?

担当者は、被検者の安全を確保することはもとより、被検者の不安を解消することも検査の安全運用の一環として取り組んでいますので、何なりとご相談ください。

特にMRI検査は、閉所恐怖症の人や20〜30分静止できない人は検査ができません。また、吸引・発熱・神経刺激(身体の末端がピリピリ感じることがある)・騒音(想像以上に大きな音がする)というリスクがありますので、事前に詳細な説明やチェックをいたしますが、ご協力をお願いいたします。 

エックス線検査で、改めて気をつけたいことは?

――受けたことがある人ばかりだと思うのですが、改めて「エックス線検査」について教えてください。

放射線の一種であるエックス線(X線)が人体を透過する量を画像化する検査のことです。エックス線は二次元(平面)、CTは三次元(立体)で画像化します。

X線の使用量はごくわずかですが、胎児は放射線の影響を受けやすいため、妊娠している人、妊娠している可能性がある人は必ず医師に伝える必要があります。 

ちなみに、「レントゲン」とは、エックス線を発見したレントゲン博士の名前を称したもので、昔は「レントゲン線」と言われたこともありますが、現在は、「エックス線検査」が法律で定められた用語です。俗称で「レントゲン」といった方が一般の方に伝わりやすいこともありますが、健康診断においても「胸部エックス線検査」と記載されています。

――健診でも検査項目としてよく入っていますね。撮影時の服装は?

胸部の撮影を受ける場合には、ブラジャーやネックレス、湿布、エレキバンなど素肌に付けているものすべてを外していただき、アップリケや絵柄など何もついていない無地のTシャツを着用して撮影をしていただきます。 

――それはどういった理由から?

金属類があると、エックス線が透過しませんので、その部分の身体情報が欠損します。また、人体の表面に厚みのある物質があると画像が一様でなくなり、それが病変と疑わしく描写されたり、それによって病変が隠れてしまったりするからです。 

――体内に機器がある場合は?

例えば、体内にあるペースメーカーは5秒間以上連続してエックス線を照射すると影響があると言われていますが、胸部エックス線撮影の撮影時間は数ミリ秒ですので、影響はありません。

歯のインプラントや補聴器も一般的なエックス線撮影では、影響を受けることはありませんが、頭部検査をする場合には画像の障害になりますので、脱着可能な器具は外していただきます。 

◇   ◇

「『磁気共鳴専門技術者認定機構ホームページ 市民向けFAQサイト』では、MRI検査に関わる市民の皆さまの疑問が解消される回答を掲載しています。また、一般の方も質問できる『MRI Safety Forum』といったサイトもあります。気になることがあれば検索してみてください」と𡈽井さん。

画像検査について丁寧に教えてくださり、疑問が解消されました。あらためて、健診日や受診前にご自身で装着物や衣類のチェックを。少しでも不安なことがあれば、検査前にしっかりと医師や技師の方に相談し、安心して受けるよう心がけましょう。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 真弓)

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