※画像はイメージです コロナ禍では長期間お預けだった「旅行」ですが、その後も、日本を襲った円安が追い打ちをかけるなど、その敷居は以前より高くなっているのではないでしょうか。
そんな現状を打破すべく、念願のハワイを諦め、グアムに行き先を変更したカップルがいました。しかし、目的地に到着するまでにトラウマ級な出来事が待っていたといいます。
◆悩んだ末に決めた初海外旅行はグアム
「海外旅行はずいぶん我慢しましたね。ようやく行けると思ったら、今度は予算が合わなくて…」
そう語るのは、薬局に勤める永瀬さん(仮名・28歳)という男性です。アルバイトでお店に来ていた美梨さん(仮名・25歳)と1年前から交際を始め、間もなく迎える交際1周年を記念して旅行を計画していたそうです。
「プランを決めるときには、毎日為替相場とにらめっこしていましたね。本当はハワイにしたかったのですが、美梨ちゃんとも話し合って、今回はグアム行きを決めました」
◆上空30,000フィートで感じた異変
永瀬さんと美梨さんは、前日に旅行用品を買い回り、その足で成田空港近くのビジネスホテルに泊まったそうです。
「私は久々で、美梨ちゃんは初めての飛行機搭乗だったので、余裕を持って早めにチェックインしました。グアム行きの便は予想以上に混んでいて、ほぼ満席に近い状態で定刻通り成田空港を飛び立ちました。
昼前の便だったのですが、上空30,000フィートから見下ろす太平洋の海がなんとも美しくて、美梨ちゃんと一緒に窓にかぶりついて眺めていました」
ところが、成田を飛び立ってから30分くらいした頃、どこからともなくイヤな匂いがしてきたといいます。
「最初は匂いの原因がわからなかったのですが、どうやら前方の座席から匂ってきていることがわかりました。何気なくのぞいてみると、前に座っていたのは若い夫婦と幼児でした。よく見ると、幼児は母親の膝の上で抱かれていて、どうやら両親はうたた寝をしているようでした」
匂いの原因が前方の幼児であることがなんとなく分かった二人。しかも、その匂いは小ではなく大だったのです。
◆まさかのシートベルト着用サイン
しばらくして、前の席の両親も匂いに気づいたのか、幼児のオムツに手を当てたり匂いを嗅いだりしている様子がシートの隙間から見えたといいます。
「ようやく気づいてくれたのは良かったのですが、なんと次の瞬間、飛行機が大きく揺れたんです。さらに続けてシートベルト着用サインが出てしまい、前方の夫婦は大を漏らした幼児を抱えながらトイレに行くこともできなくなりました」
母親はブランケットに幼児をくるみ、なんとか匂いが漏れないように気を遣っているようでしたが、もはや焼け石に水だったといいます。
「その日は気流の状態が良くなく、シートベルト着用サインが15分ほど消えませんでした。その間、幼児は泣き叫ぶし、便の匂いは漂ってくるし、早く目的地につかないかとばかり思っていました」
◆トラウマになってしまった空の旅
しばらくして、機長からのアナウンスの後シートベルト着用サインが解除され、前の席の母親は幼児を抱きかかえて後方のトイレに駆け込んだそうです。その後、すぐに機内食の配膳が開始されました。
「前の席の母親が幼児と席を立った後、機内では食事の準備が始められました。しばらくしてCAが手渡してくれた食事が、なんとカレーライスのようなメニューだったのです。
厳密には、サフランライスの上にビーンズとソースが混ざった茶色いクリーム和えだったのですが、見た目がニオイの元を想像してしまうようなビジュアルだったので、ほとんど手をつけることができませんでした」
結局、永瀬さんと美梨さんは、グアム到着までジュースしか口にしなかったそうです。本当であればおなかが空いているはずなのに、機内で遭遇した出来事がトラウマになり、食欲が全く出なかったそうです。
「機内で漂ってきた匂いがあまりにも強烈だったので、グアムに到着後も食欲が全くわかず、しかも二人ともなんとなく無口になってしまいました。たぶん二人には『せっかくの初海外なのに、なんであんな目に遭わなければいけないの?』という気持ちでいっぱいだったのだと思います」
結局二人は最終日まで気分が上がらず、重たい雰囲気のまま帰国したそうです。
TEXT/八木正規
【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営