犯罪対策閣僚会議で発言する石破茂首相(左から2人目)=22日午前、首相官邸 SNSを悪用した特殊詐欺被害の多発を受け、政府は22日、犯罪対策閣僚会議を開き、警察が管理する架空名義の金融口座を犯罪グループに使わせて金の流れを監視する「架空名義口座捜査」の導入を目指すなどの緊急対策をまとめた。容疑者特定に向け、通信事業者に通信履歴の保存を義務付けるよう検討することなども盛り込んだ。
警察庁によると、2024年の特殊詐欺と「SNS型投資・ロマンス詐欺」の被害額は暫定値で計約2000億円に上り、闇バイトによる強盗事件も相次いだ。犯罪グループはSNSなどで売買される他人名義の口座を、詐取した金や強盗実行役が盗んだ金の受け皿として用いるケースが多い。
このため、金融機関の協力で警察が実在しない人物名義の口座を開設。口座売却を求める投稿に捜査員が身元を隠して応じ、その口座からの資金の流れを追い、犯罪グループ中枢の摘発につなげる考えだ。警察の口座を紛れ込ませることで、不正な買い取りをけん制する効果も見込む。
犯罪収益移転防止法は、口座の売買や本人名義以外での開設を禁じており、導入には法改正が必要とみられる。警察庁は関係省庁や有識者と協議を進めるほか、口座売買の厳罰化も検討する。