選択的夫婦別姓法案を提出する立憲民主党の黒岩宇洋氏(左から2人目)。右から2人目は枝野幸男元代表=30日、国会内 立憲民主党は30日、選択的夫婦別姓制度を導入するための民法改正案を単独で衆院に提出した。今国会に夫婦別姓法案を出したのは立民が初めてで、導入の機運を高めて審議入りを促すのが狙い。今国会での成立に向け、各党の賛同を得られるかが課題だ。
立民案は、1996年の法制審議会(法相の諮問機関)答申に沿った内容で、夫婦は同姓か別姓を選択可能とし、子の姓は夫婦が別姓を選ぶ場合、結婚時に決めると定めた。法施行から1年以内は経過措置として、結婚で姓を変更しても元に戻せることを盛り込んだ。
党実現本部長の辻元清美代表代行は記者団に「この改革なくして日本の前進なしだ」と主張。「先陣を切ることで各党の提出も促したい」と語った。衆院法務委員会で野党筆頭理事を務める黒岩宇洋氏は「賛同者を広げて可決に持ち込みたい」と強調した。
ただ、各党の同調を取り付けられるかは見通せていない。立民は提出に先立ち、自民党の推進派にも法案を説明したが、自民内の賛否は割れている。公明党は「政府提出法案が望ましい」(斉藤鉄夫代表)との立場で、西田実仁幹事長は30日の記者会見で「幅広い合意をつくる議論を活発化させなければならない」と述べるにとどめた。
野党では、日本維新の会が同姓制度を維持し、旧姓使用に法的効力を与える法案の要綱をまとめた。国民民主党は与野党を超えた幅広い合意が必要との考えで、独自に法案提出の準備を進める。共産党は、小池晃書記局長が立民案への賛同を表明している。
立民にとって、トランプ米政権の関税措置への対応に与野党の関心が移っていることも気がかりだ。立民は後半国会の主要なテーマに据えたい考えだが、「関税で夫婦別姓への関心は下がっている」(自民幹部)との見方も出ている。
◇夫婦別姓を巡る各党の立場
【立場】 【対応】
自民 賛否割れる 定まらず
公明 前向き 斉藤鉄夫代表「政府提出望ましい」
立民 賛成 法案単独提出
維新 慎重 旧姓使用に法的効力与える案
国民 与野党の合意必要 法案準備
共産 賛成 小池晃書記局長「立民案に賛成」。