想定甘さに人材不足も=泊原発、異例の長期審査―北海道電

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2025年05月01日 07:31  時事通信社

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北海道電力泊原発で、断層を調べる原子力規制委員会の調査団=2014年8月4日、北海道泊村
 原発再稼働の前提となる新規制基準が施行された2013年7月から始まった北海道電力泊原発3号機の審査は、敷地内にある断層の評価や津波高さの想定が途中で覆るなどしたため、申請から12年近くに及ぶ異例の長さとなった。背景には、北海道電の当初想定の甘さに加え、原子力規制委員会から指摘を受けるほどの人材不足などが挙げられる。

 異例の長期審査の中でも、地震対策に関する議論に時間を要した。規制委は15年、北海道電が示した耐震設計の目安となる基準地震動に対し「おおむね妥当」との評価を示したが、その後に同原発周辺の地盤が過去の地震で隆起した可能性があることが分かり、説明のやり直しを求めた。

 また、同社が活断層ではないとしていた敷地内の断層について、主張を裏付ける根拠が薄いことが判明し、追加の掘削調査を余儀なくされた。基準地震動は結局、当初申請の550ガル(加速度の単位)から693ガルに引き上げられ、規制委が改めて妥当としたのは申請から10年近くが経過した23年6月だった。

 想定される津波の最大の高さは、申請当初の7.3メートルから修正を繰り返し、最終的に17.8メートルに変更。14年に盛り土を地盤とする防潮堤(高さ16.5メートル)を完成させていたものの、液状化しない根拠を求められると、異なる構造の防潮堤新設へと方針転換した。

 また、最短14分で押し寄せるとされる津波により防潮堤にぶつかる恐れのある核燃料用の輸送船の漂流対策も焦点となった。同社は当初、ロープでの係留を検討していたが、津波の負荷に耐えられない可能性があると判断。原発敷地外の泊村内に新港を整備し、同原発と結ぶ専用道路を建設する方針を示した。

 こうした北海道電の対応について、規制委の更田豊志委員長(当時)は22年、「複数の原発を抱えている電力会社に比べ、北海道電は地震や断層、火山の専門家を抱えるのは難しい」と指摘。これを受けて同社は、他の電力会社から応援を受けるなどして体制を強化した。 

このニュースに関するつぶやき

  • 規制委員会の無駄な検査と対処の問題では?わざわざ動かさないようにしている。メンバーの総入れ替えが必要だ。
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