
5月も多くの食料品と日用品が値上げされます。そんな中、物価高対策として与野党で高まっているのが「消費税の減税論」です。街の声は。
【写真で見る】消費税減税で約5兆円の減収…5兆円あればできること
「お買い物の金額の大半がお米で占めてしまう」5キロ平均約4500円→約5500円5月はハウス食品の「バーモントカレー」などが値上がりします。
帝国データバンクによると、7月までに値上げが決まっている食品は、1万3902品目にのぼり、すでに去年1年間を上回っています。
スーパーの苦労は尽きません。
4月まで5キロ平均約4500円で売っていたコメを、5月から約5500円に値上げしました。
スーパーセルシオ 鶴田英明 店長
「5000円となると一回のお買い物の金額の大半がお米で占めてしまう。なかなか買いづらい値段になる」
子ども4人の母(40代)
「国産米じゃなくて、カリフォルニア米とかを買ってます。2000円くらい違います」
物価高の今、与野党双方から、消費税の減税を求める声が高まっています。
立憲民主党 野田佳彦 代表
「今を生きる世代が困窮を極めている」
先週、立憲民主党は、夏の参院選の公約に“食料品の消費税ゼロ”を盛り込むと表明しました。その期限は原則1年間としています。
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また、日本維新の会も、2年限定で食料品の消費税をゼロにすると主張。
一方、国民民主党は、時限的にすべての品目で消費税を一律5%に引き下げることを求めていて、玉木代表は“食料品にかかる8%の消費税ゼロ”は、飲食店への打撃になると疑問を呈しています。
国民民主党 玉木雄一郎 代表
「今までは(食料品)8%と(外食)10%の差だが、これが(食料品)0%と(外食)10%の差になる。外食する人がすごく減ってしまうんじゃないか。飲食店の経営には大打撃になる可能性がある」
自民党内からも消費税減税を求める声が上がっていますが、石破総理は慎重姿勢です。
石破総理
「高所得・高額消費も含めて負担軽減されることになる。低所得の方が物価高に一番苦しんでいることから考えれば、どうなんだろうねということ」
街からは様々な受け止めがあります。
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2人の子供を育てる会社員(30代)
「減らしたところで、そこの財源はどこから出てくるんだろう」
自営業(69)
「減税するならば議員の数を減らした方がいいのでは。よっぽど予算の無駄遣いがなくなっていい」
1歳児の母親(29)
「子どもにかかるもの全般が安くなったら家計が助かる。おむつのクーポンとかもらえたらありがたい」
高校生
「国のために消費税がある。元の値段を抑えるべきじゃないかと思う」
藤森祥平キャスター:
夏の参院選を控え、消費税の減税案の声が日に日に大きくなってきているようにも聞こえます。
【消費減税 各党のスタンス】
自民党
・参院8割が減税要求
・軽減税率0%を求める議員らも
公明党
・減税+つなぎ給付
立憲民主党
・1年間食料品0%(1回のみ延長可)
日本維新の会
・2年限定で食料品0%
国民民主党
・時限的に一律5%
各党のスタンスがはっきりしてきた中で、自民党はまだまとめきれていません。
星浩さんによると、森山幹事長や林官房長官が反対していて、石破総理がすぐに決断できない状況にあるといいます。そして、「参院選の結果次第では躍進した政党の案を受け入れる可能性もある」ということでした。
減税をすると税収は減ります。今、食料品などにかかっている軽減税率8%を0%にすると、年間で税収は約5兆円減るということになります。
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5兆円の財源があったら、一律の現金給付の場合、1人あたり4万円の給付が可能になる計算です。
消費税の減税で、この4万円分を得ようとするのであれば、食料品などを年間1人あたり50万円分購入する必要があります。4人家族の場合、年間で200万円分を食料品などに使うという計算です。
東京大学准教授 斎藤幸平さん:
基本的には、選挙前に各党が減税になびいているのは非常に嘆かわしいです。
1年限定で消費税を減らすのは手間もかかるし、現金給付の方がシンプルで手っ取り早いと思うのですが、なぜ消費税減税の方が人気あるのかよくわからないです。
5月1日は「メーデー」でした。ドイツだと休みで、労働者の人たちはデモなどもしていました。
ドイツはインフレが進んでいて、ストライキなどの労働運動が盛んな国だと、インフレを前にして、減税よりも賃金を上げていこうという流れが自然で、グローバルスタンダードだと思います。
それに対して日本は全然ありません。単に賃金を上げることができないので、国に対して税金を減らそうとなってしまっています。
賃金を上げることで、むしろビジネス面でも産業構造の転換もしていき、新しい技術に投資もしていく形で企業も変わっていって、長期的に国も成長していくと思います。
日本の減税だけだと、インセンティブが資本の側に一切生じないので、赤字国債を発行するやり方は、長期的には日本の停滞がますます長引いてしまうのではないかと危惧しています。
NEWS DIGアプリでは『物価高対策』について「みんなの声」を募集しました。
Q.あなたはどんな物価高対策を求めますか?
「消費税の一律減税」…32.2%
「食料品に限った消費税減税」…39.0%
「現金給付」…17.8%
「減税も給付も必要ない」…8.5%
「その他・わからない」…2.5%
※5月1日午後11時15分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
※動画内で紹介したアンケートは2日午前8時で終了しました
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<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学准教授 専門は経済・ 社会思想
ドイツ在住 著書『人新世の「資本論」』