
戦闘終結への糸口が全く見えません。イスラエル軍が大規模な地上作戦を開始。ガザでは1日あたりの死者が連日100人を超える事態になっています。
【写真を見る】「爆弾の音が聞こえて嬉しい」攻撃を見に来る観光客も…
ガザ 連日の死者が100人超昼夜問わず攻撃が続く、パレスチナ自治区ガザ。
軍事作戦の拡大を続けるイスラエル軍は18日、新たにガザ北部と南部で大規模な地上作戦を開始したと発表。
ガザ地区の死者は連日、100人を超える規模で増え続けています。
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ガザ市民
「ネタニヤフが私の息子にミサイルを撃ち、頭を粉々にした。天使のように寝てたのに」
「イスラエル兵は穴を開けて家に侵入し、父親を殺害し、10歳くらいの子どもを連れ去った」
3月中旬にガザ攻撃を再開して以降、最大規模と見られる今回の攻撃。イスラエルには、人質解放などをめぐる交渉で圧力をかける狙いがあると見られています。
さらにイスラエルは2か月以上にわたり、ガザへの支援物資の搬入を阻止。WHOは「ガザで200万人が飢餓に苦しんでいる」と発表するなど、深刻な状況が続いています。
ガザ市民
「イスラエルは私たちを飢えさせようとしている。水も食料もない」
「もう十分だ、助けてくれ。私たちはもう歩くことも食べることもできない」
こうした状況に対し、イスラエルのネタニヤフ首相は19日、ハマスが支援物資を略奪していると主張した上で…
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ネタニヤフ首相(テレグラムより)
「ガザ全域を制圧する」
ガザ全域を制圧することで、物資の略奪を阻止すると強調しています。
攻撃を見に来た観光客も増尾聡記者
「ガザの上空には黒い煙がたちこめています。攻撃が続いていることがわかります。そして、こちらイスラエル南部の高い丘になっている場所では、攻撃の様子を見る市民の姿があります」
ガザとの境界に面したイスラエル・スデロット。
この丘は、ツアーのコースにもなっていて、観光で訪れる人もいると言います。
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ーー黒い煙が上がっているのはどう?
イスラエル人ツアー客
「こんなことを言うのは心苦しいが、正直に言えば爆弾の音を聞いて嬉しい。なぜなら、行動を起こしているということだから。どんな戦争にも代償が伴う。そして私たちもまた、その代償を払っている」
カナダから訪れたユダヤ系ツアー客
「残念ながら、ガザに“罪のない人はほとんどいない”と思う。彼らは長年、洗脳されてきたし、彼らに希望はありません」
イスラエル側からはこうした声もあがりますが、ガザでは“罪のない”市民の命が奪われ続けています。
“絶望的状況” 停戦への道筋は?小川彩佳キャスター:
ガザとの境界・スデロットでは増尾記者が取材にあたっています。今はどのような状況でしょうか。
増尾聡記者:
ガザの境界、イスラエル南部スデロットからは、ガザのちょうど北部が見えます。20分ほど前には大きな砲撃音とともに、ガザから黒い煙が立ち上る様子も見えました。攻撃が続いています。
そしてイスラエル軍は先ほど、ガザ南部のハンユニスの住人に対して退避命令を出しました。今後は南部でも攻撃が激化する見通しです。
藤森祥平キャスター:
歯止めが利かないどころか、イスラエルは一段と激しい攻撃を行おうとしているこの状況で、停戦へのかすかな希望は残されているのでしょうか。
増尾聡記者:
率直に言って、停戦への道筋は、極めて険しいものになっていると感じます。
イスラエル国内を見ていても、国内からの停戦へと動く可能性は非常に低いと思います。
イスラエルは、ある調査では「7割の人が、ハマスが人質を解放する代わりに、恒久的な停戦に応じてもいい」といった意見がありますが、肝心のネタニヤフ首相は、このような声には耳を貸さず、むしろ閣僚からは「ガザに残っているものは全て破壊する」といった極めて強硬的な声が聞こえます。
国外からの圧力という意味でやはり期待するのは、同盟国のアメリカの動きです。ただ、アメリカのトランプ大統領は当初、「ガザの戦闘を終わらせる」と息巻いていましたが、16日に終えた中東歴訪でも、ガザ停戦に向けた目立った発言はなく、問題を置き去りにしたとの非難も出ています。
このようにガザ情勢を巡っては、絶望的とも言える状況で、突破口は見いだせないまま、犠牲者の数は増えているといった状況が続いています。