自民党の麻生太郎氏(左)と立憲民主党の野田佳彦代表 皇族数の確保策を巡り、与野党が今国会中を目指していた成案の取りまとめは先送りされる公算が大きくなった。自民、立憲民主両党の間になお隔たりが残っており、今国会の会期末が22日に迫る中、両党の非公式協議を仲介してきた額賀福志郎衆院議長らは会期内の意見集約は困難との判断に傾いた。議論の到達点を「ピン留め」するため、中間報告を出す案が出ている。
複数の与野党幹部が3日明らかにした。与野党は皇族数確保策として(1)女性皇族が結婚後も身分を保持する(2)戦後に皇籍を離脱した旧11宮家の男系男子を養子として皇室に迎える―の2案を協議。(2)案は反対論がある一方、(1)案には与野党各党がおおむね賛同している。
ただ、(1)案に関しても、女性皇族の夫と子に皇族の身分を与えるかどうかについて意見対立が残る。自民は母方のみ天皇の血を引く「女系天皇」につながりかねないとの懸念から身分付与に否定的な一方、立民は前向きだ。妥協点を探るため、額賀氏と玄葉光一郎衆院副議長の仲介の下、3月以降、自民の麻生太郎最高顧問、立民の野田佳彦代表による水面下の協議が本格化した。
4者協議は断続的に行われ、麻生氏が夫と子を皇族とするのは旧宮家の男系男子と結婚した場合に限るべきだと主張したのに対し、野田氏は皇室会議に判断を委ねる案を提示。会期末が迫っても両者に歩み寄りは見られず、3日の協議は中止された。メンバーの一人は「秋に仕切り直しだ」と語った。
額賀氏は4月中旬の与野党全体協議で、取りまとめ案を衆参両院正副議長で作成して全体会議に提示する方針を示していたが、今国会中に全体協議を再開するめどは立っていない。今国会中の取りまとめを見送った場合、秋にも想定される臨時国会での協議再開を目指す構えだ。