スーパーフォーミュラを運営するJRPがTriple Tree Racingなどへの罰則を発表。上野社長が『侮辱』と判断した経緯を説明

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2025年06月06日 16:00  AUTOSPORT web

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富士スピードウェイで行われている第2回スーパーフォーミュラ公式テストで会見を行なったJRP上野禎久社長
 6月6日、2025全日本スーパーフォーミュラ選手権の公式テストが行われている富士スピードウェイで、日本レースプロモーション(JRP)の上野禎久社長が記者会見を実施。5月18日にオートポリスで行われた第5戦で不適切な行為と発言があったことに対し、HAZAMA ANDO Triple Tree Racingの野田英樹監督と、Kids com Team KCMGの8号車ドライバーである福住仁嶺に対して、7月の富士大会における参加や走行時間に対して一部制限がかけられることが発表された。

 Triple Tree Racingの無線交信内容については、すでに同チームが6月4日に「監督の不適切発言に関するお詫び」としてリリースを出しているが、これについてJRPは「チーム無線において他者に対し、侮辱と解する発言をした」として、チーム監督である野田英樹氏に対して、7月19日に開催される第6戦において、ピット及びパドックへの終日入場制限に加え、無線着用及び交信についても制限するという罰則を適用した。

 この罰則適用について「“politics”という表現をしていましたが、その対象が我々なのかは分かりません。ただ、政治的な判断で他者が影響を及ぼしているという間違った印象を与えたことは事実ですので、その点について我々は問題だという判断をしました」と上野社長。

 第6戦ではピット及びパドックへの入場のみならず、監督がチーム無線の交信に加わることも制限されるが、「チーム無線の中で、ルールを誤認識した指示もありました。それはレースの安全性を脅やかす可能性もあるため、このような制限を設けました」と語った。

 この会見の直前、6月4日にはTriple Tree Racingが『監督の不適切発言に関するお詫び』、『Juju(野田樹潤)に対する誹謗中傷について』と2件のリリースを発表、会見の前日の6月5日には監督の不適切発言に関して、『SF第5戦九州大会における一連の事実関係について』として補足のリリースを発表していた。

 この補足の中で、Triple Tree Racingは『野田監督が述べた「チームオーナー」が近藤真彦氏のことを指し、同氏によって「政治」が行われたという意味の発言であるという指摘は、全くの誤解です。真相は、野田監督が述べた「チームオーナー」とは野田監督自身のことであり、Jujuが動揺せずレースに集中できるよう、「Juju、お前は悪くない。俺がチームオーナーだから、こういう政治が行われるんだ」と諭した会話でした。(リリース抜粋)』とリリースを発表していたが、上野社長は「チームからのリリースは私自身も目を通していますが、今回のジャッジに対してはリリースの内容が影響したことはありません」と語った。

 また、同じ第5戦オートポリスの予選後に、他車にアタックの妨害を受けたとして、Kids com Team KCMGの福住が他の選手に対して、チームコーディネーターの制止を振り切り右手を出し掴みかかろうとした事案があったことにも罰則を適用。

 当該車両は7月の第6戦・第7戦富士大会の金曜専有走行の後半60分間(FP2)の参加を制限するとのこと。なお、レースの安全性を確保するため、前半60分間(FP1)の走行は認められる。

 この件については、第5戦オートポリス大会の当日に罰金20万円というペナルティが課せられたが、それに加えてプロモーターからも罰則を適用することになった。「第5戦の時はスーパーフォーミュラ競技規則第2条第5項に関連する内容で、あくまでも審査委員会の判断です。ただ、我々はプロモーターとしてチームの善管管理義務があるなかで『ここは看過できない』ということで、二重罰則という判断になりました」と上野社長は説明した。

 これらの罰則については、2025年のチーム登録契約に基づいて適用に至っているとのことで、スーパーフォーミュラにおいてシリーズプロモーターから、今回のような罰則が適用されるケースは極めて稀な事例となる。

 これらの措置を講じたことについてJRPの上野社長は「今回、もっとも問題になったのは衆人環視のもとで起きているということ。我々は未来の子どもたちに夢を届けようと、たくさんのお客さんを呼んでいます。そこで『本当に子どもたちの見本になれたのか?』というところを、重く受け止めました。時代の変化と、我々がこれから求めていくファン層に対して、強く懸念を持ったのは事実です」とコメント。SFgoでの無線公開も含めて、このように語った。

「社会の変化に僕たちも適用しないといけないと思っています。SFgoを導入して、無線の会話をオープンにしました。その前提で、我々はドライバーたちのスポーツマンシップ・ショーマンシップに依存したかたちで、新しい時代の発信をやっていこうとトライしてきました」

「当然、我々に対しても課題を突きつけられました。ただ、これから時代が変化していくなかで、しっかりとこういった罰則を適用させることで、再発防止をしていかなければならないと判断したので、今回このようなかたちになりました」

 そして、第5戦終了から約3週間が経った今になって発表となったことについては、「時間が掛かり過ぎてしまったことは反省としてあります」と認めつつ、「今回起きた事実確認をしっかり行ないました。関係者に直接話を聞く機会を設け、契約内容を確認し、その後に我々のガバナンスに従って、取締役会で決議をしました。決定した内容を対象者に説明し、相手からの弁明の時間を設けるという、通常のガバナンスのプロセスを踏みました」と、上野社長は経緯を明かした。


■参加チームに対する罰則適用について/2025年6月6日(金)株式会社日本レースプロモーション発表

Kids com Team KCMG(KCMG)

・対象事案:2025年5月18日(日)に開催された2025年SUPER FORMULA第5戦予選終了後、KCMG8号車の選手が他選手に対し、チームコーディネーターの制止を振り切り右手を出し掴みかかろうとした。

・罰則内容:KCMGに対し走行時間の制限を科す

・対象日:2025年7月18日(金)専有走行

・制限内容:120分間の走行時間の後半60分間を制限する。ただし、レースの安全性を確保するために前半60分間の走行を認める

Triple Tree Racing(TTR)

・対象事案:2025年5月18日(日)に開催された2025年SUPER FORMULA第5戦決勝レース中、TTRのチーム無線において他者に対し、侮辱と解する発信を行なった。

・罰則内容:TTRに対し選手権大会への参加制限を科す

・対象日:2025年7月19日(土)第6戦

・対象者:TTR監督

・制限内容:ピット及びパドックへの終日入場制限。なお、無線着用及び交信についても制限する

[オートスポーツweb 2025年06月06日]

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