「兄がいる小学校だから」弟も入学させたら大変な事態に。「学校選びの落とし穴」を専門家が解説

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2025年06月15日 16:00  日刊SPA!

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―[貧困東大生・布施川天馬]―
 みなさんに兄弟や姉妹はいますか?それとも、一人っ子でしょうか。

 きょうだいがいらっしゃるご家庭あるあるが「上の子のおさがりが降りてくる」こと。服やおもちゃなどが降りてくるのは珍しくないでしょう。

 何人も子どもがいると、節約したくなる気持ちはとても分かります。ですが、「制服がおさがりにできるから」と、ろくに下調べもしないままで、上の子と同じ中学・高校に下の子も通わせてしまうと、大きな落とし穴にはまってしまうかもしれません。

 今回は、きょうだいがいるご家庭にこそ気を付けてほしい「学校選びの落とし穴」についてお伝えします。

◆公立校の落とし穴

 私はこの6月に『勉強にかかるお金図鑑』という本を上梓しますが、執筆にあたり、実際にどれくらいお金をかけて、どのようなルートを辿り、大学に進学していったのか、22名に聞いた話を基に作った22本のインタビュー記事をまとめています。

 この中で特に印象強かったのが成田さん(仮名)のケース。兄と姉をもつ3人きょうだいの末っ子である彼は、兄と姉がそうであったように、地元の小学校へ進学していきました。

 ですが、ここで思わぬ事態が。彼の5つ上、7つ上のきょうだいたちがいた時代とは大きく情勢が異なり、ほとんど学級崩壊していたのです。

 授業中に騒ぐなんて当たり前、先生が授業を投げ出して職員室に帰るのも日常茶飯事だったそう。一時はクラス内で盗難事件が発生し、警察が学校に調査に来たこともあったといいます。

 実は、私にも同じような経験が。私はもともと地元の公立中学校に通うつもりだったのですが、その頃私が通う予定だった中学校の治安が急激に悪化していた時期で、窓ガラスが割れるなんてしょっちゅう、暴力事件もしばしば起こり、週に一度は学校にパトカーが乗り付けていました。

 公立校は、一定周期で学年の治安が悪化したり、改善に向かったりします。自分の子どもがその学校に通うときにどちらの傾向にあるかは、もはや完全なる運の問題であり、こればかりは仕方ありません。

◆活路は私立校受験か

 学校側の治安状況の変化を事前に読み取り、悪化を防ぐのは不可能です。

 ですから、どうしても避けたいのであれば、外部の学校を受験するしかありません。実際に、私は中学受験を経験していますが、その理由は「地元の荒れた学校でいじめの標的になりたくないから」でした。

 私は小学校時代からいじめの標的にあいやすく、学校でも塾でも、何度かいじめられた経験がありました。

 当時は気も弱く、周りの子たちと話も合わなかったことから、地元の学校に行けば、十中八九目をつけられていたでしょう。それを心配した両親から、中学受験を勧められたのでした。

 私は「キャリア形成の手段」としての中学受験には強く反対していますが、「いじめの回避」のような緊急避難的な受験ならば、むしろ積極的に行われるべきだと考えています。

 今回インタビューした中でも、小学校時代のいじめに悩み、いじめっ子と袂を分かつために中学受験を決意した方がいらっしゃいました。

◆東北から関東に引っ越してきたら“訛り”がきっかけでいじめられた

 若林さん(仮名)は、東北の小学校から埼玉県の小学校に引っ越してきたところ、東北弁特有の言葉遣いと訛りがきっかけでクラス中が敵に回るほどのいじめにあいました。

 唯一信じていた親友もいじめグループに吸収され、自分を叩いて回る毎日。楽しかった東北の日々を思い出して、家で一人泣きくれた彼を救ったのが、中学受験でした。

 必死に勉強して、なんとか繋ぎ止めたある私立中学校への入学きっぷ。これによって、彼の人生は信じられないほど好転します。

 いじめとは無縁の、友人や恋人に囲まれながら、部活動に熱中する理想の学園生活。今でも彼は、中学時代に出会った音楽をライフワークとしており、社会人生活の傍らでドラムスティックを振るっています。

◆私立校は評判を守るため環境が安定しやすい?

 もちろん私立校でも環境は変化するでしょうが、公立校よりも安定しやすい可能性があります。

 私立学校は、法律的には非営利団体に指定されていますが、実質的には営利団体的なふるまいをするからです。

 つまり、あまり評判が悪くなりすぎると、次年度以降の入学者数に大きく関わり、ひいては学校経営を大きく揺るがす可能性が高いため、定期的な引き締めが図られるのではないでしょうか。

 公立校はお金がかからず、比較的安定的な選択肢であることに間違いはありません。ですが、受験によるふるい分けがない小学校・中学校の段階では、時期が悪いと、荒れた学園生活を余儀なくされることも。情勢が安定している私立校に通わせたくなる親心もよくわかります。

 ただ、結局お金がない家庭の子どもは私立に逃げられず、問題は解決しません。行政には、教員待遇の向上や、施設設備のリフォームなどを通して、公立校の環境整備をしてほしいものです。

―[貧困東大生・布施川天馬]―

【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)

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