画像は編集部で作成先日、Xでは気になっている異性とのデートの後に相手から連絡がないことに対して「フェードアウトするなら筋通しましょうや…」と送った男性の投稿が話題になりました。今やネットで「筋ニキ」と呼ばれるまで盛り上がっています。
◆無言でフェードアウトは不誠実か否か
話題の投稿者はこの春に大学に入学したという男性。サークル内で気になっている女の子とデートができ、その日にお礼と「嫌じゃなかったらまた出かけよう」という趣旨の連絡をしたものの、相手からは何の返事もありませんでした。
そこで男性は数日後に「フェードアウトするなら筋通しましょうや…」と追い連絡。そのことをトーク画面のスクリーンショットとともにXで報告しました。男性はその女の子が礼節を欠いていることや、自分が傷心していることへの共感を求めて投稿しましたが、事態は思わぬ方向へ進むことになります。
まず女性側から寄せられた意見には、「返事がないことを脈がないと察するように教わる機会がなかったのか」「好きな女の子が自分のことを好きではないとわかると、どうして男性は攻撃的になるの?」という声が多くありました。女性の多くが「わざわざ好きではないことを言うまでもな」「はっきりと断ると角が立つから連絡しないことで伝えた」といった考え方を示していました。
一方で当該男性としては、一度デートをしてみて自分が「ナシ」だったのなら、率直にその旨を伝えてほしかったのでしょう。返事が何もないことで、また連絡してよいのかどうかとモヤモヤしてしまいますし、面倒だからという理由で返事をしないことは不誠実で無礼なのではないか、という男性の考えも理解できるでしょう。
◆フェードアウトは自己防衛の手段?女性たちのリアルな葛藤
しかし、この「フェードアウトで筋を通すべきか」という議論については、女性側があえて自衛手段として行っているという見方も多くありました。
同じようにデート後、男性の振る舞いに不快な思いをしたことで理由とともに「二人で会いたくない」と伝えた結果、相手男性から「お前なんて遊びなのに本気にしてんの?」「ブスのくせに」と理不尽に逆上された経験がある女性の投稿も散見されました。
また、もう二度とデートには行きたくないけれども、逆上されることを恐れて「また機会があれば」や「忙しいので都合がつかない」といった、相手を傷つけないような社交辞令や嘘で断りを入れても、言葉をそのまま真に受けた男性からすぐに『いつなら空いているの?』とデート日時を決めようとする催促の連絡が来て困っている女性もいました。
筋を通すためにはっきりと断ったら攻撃され、大人のマナーとして社交辞令でやんわり断っても伝わらない。こうした背景から連絡を返さないフェードアウトが最も自衛につながると考えるのも無理はない話です。
今回話題となった女の子も、過去の経験則から「筋を通さないフェードアウトが最善策」と判断したのかもしれません。
◆フェードアウトは現代の優しさ?
近年ではストーカー事件が頻発し、交際相手だけでなく元恋人から女性が刺される事件も後を絶ちません。場合によっては、女性側がそもそも交際していると認識していなかったり、店員と客という職務上の関係で愛想よく振る舞っていただけにもかかわらず、男性側が「この子は俺のことが好き」と勘違いしてつきまとい被害が起きることもあります。
こうした現状を踏まえると、はっきり断ることで男性を傷つけないよう配慮しつつ、脈がないことを行動で示す『無言のフェードアウト』は、むしろ現代における優しさであり、強いメッセージであると男性側も心得ておくべきでしょう。
一方で男性側からは「無言のフェードアウトは『この男は断ったらストーカーしてくるタイプだと思われているのでは』と思うと腹立たしい」「こんな不誠実で無礼な女性を好きになりかけていた自分にイライラし、自己嫌悪を相手にぶつける男性がいるのでは」といった意見も寄せられました。
今回の議論は、デート相手を断った際に女性が直面する攻撃性に関する男性の心理について再考する契機にもなりました。
◆ネットミーム化と大学生の「功績」
さらに、今回の投稿が炎上したことで「筋通しましょうや」がネットミームにまで発展しました。
友人や恋人とのLINEで「おやすみ!」と挨拶を送った後、返事がなくてもいいシチュエーションで、あえて「フェードアウトするなら筋通しましょうや」と追いLINEを送る遊びや、「〇〇するなら筋を通しましょうや」としてさまざまな投稿が行われ、大喜利大会状態になっています。さらには「嫌いな先輩から誘われて返事に悩んでいたけど、筋通しニキのおかげで無言のフェードアウトができて罪悪感が軽減された」といった投稿まで。
今回デート相手の女の子との交際には発展がありませんでしたが、この投稿が炎上したことで気になる異性とのデート後のベストな幕引きについて議論が深まり、さらに意外な形でネットミームまで誕生したのは、この男子大学生の功績かもしれません。
<文/エタノール純子>
【エタノール純子】
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中