大手商社勤務の30代男性が「自宅売却、家庭崩壊に至った」顛末。消費者金融に返済ができなくなり…

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2025年06月22日 16:00  日刊SPA!

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※写真はイメージです
元メガバンク行員の金融ライター、渡辺智です。
筆者はメガバンクに11年間勤めた経験があり、FP1級の知識を活かして5000人以上のお金に関するコンサルを行ってきました。

富裕層からマス層まで多くの顧客がいましたが、「1つの投資商品に固執をすると人生詰んでしまう」ことが多かったです。

今回は最近、大きく上昇をしている「ゴールド」を信じ過ぎてしまった人の末路をご紹介しますので、ぜひ反面教師にしてください。

◆近年の金価格の上昇がすごい!

ゴールド投資はその名の通り、「金」に投資するものです。ここ5年間、金の上昇がすごいのをご存じでしょうか?

「有事の際の金」といわれているように、地政学リスクの高まりや政治不安などによって価格が上昇しやすいのが特徴です。

2020年のコロナ禍、2022年のロシア・ウクライナ戦争、そして2025年のトランプ関税などによって、世界は大きな不安に襲われました。

このような環境下では、安全資産の金の価格が大きく上昇をしたのでしょう。

2019年頃まで1gあたり4000円台だった金の価格は、2025年現在1万7000円を超えるまで上昇しました。なんと4倍です。

このように金の価格が大きく上昇をしていることから、最近は金に投資している投資信託などの人気が非常に高まっています。

確かにここまで大きく上昇をしているときに投資をしたくなる気持ちはわかります。

しかし、金にだけ投資をしていれば、今後も資産が大きく増加するかというと、それはわかりません。

◆短期間で大きく下落することも…

ここ数年、金の価格は急上昇していますが、2008年のリーマンショックの時は、約5ヶ月で25%の下落をしています。

このように、金は決して「絶対」ではないのです。

安全資産といわれているにもかかわらず、リーマンショックのようなことが起きると金も関係なく大きく下落をしました。当時、株式から全資産を金に切り替えて、資産を4分の1に減らしてしまった人もいます。これだけならまだ良いですが私はもっと悲惨な末路を迎えた人を知っています。

◆金の暴落で家を売却し離婚してしまった30代男性

私が担当していたお客様に大手商社に勤めていたAさん(36歳)という男性の方がいました。

Aさんは商社で資源の担当をしていたため、金価格に詳しかったです。知識を活かしてゴールド投資で利益を得ていましたが、当初は慎重な性格もあり、100万円程度を金投資に充てていました。

順調に利益確定をしていましたが、ある時「もっと大きな金額で投資をすれば家のローンの返済ができる」と思ったAさんは、なんと消費者金融でお金を借りて金投資をするようになったのです。

大手商社に勤めていたので信用力が高く、なんと1000万円の資金を調達し、2000万円の自己資金すべてを合わせて3000万円で金投資を行いました。

結果は……。金の暴落が起きてしまい、消費者金融に返済ができなくなり、自宅を売却することになりました。

しかも金投資に熱中しすぎて奥様との関係もおかしくなり、離婚までしてしまいました。投資で負った借金は自己破産の対象外なので今も返済を続けています。

このように、いくら安全だといわれている資産でも一極集中投資をしてしまうと、大きく資産を減らしてしまう可能性があるので注意してください。

◆一極集中投資の最悪の例は「レバレッジ投資信託」

金はまだ25%の下落で済んだので、まだ良い方かもしれません。中には、1年足らずで資産の90%以上を減らしてしまった投資商品もあります。

それが「SOXL」というETFで、アメリカの主な半導体企業の株価に連動しているフィラデルフィア半導体指数の3倍の値動きをする商品です。

3倍の値動きをするので、例えば1%指数が上昇したら、SOXLは3%上昇する仕組みです。

少ない投資資金でも大きな利益を短期間で狙えるとして非常に人気がありますが、裏を返せば、非常に危険な商品でもあります。

2022年半導体指数は大きく下落をしたのでSOXLに投資をした人は、1年足らずで90%以上の資産を減らしてしまいました。

このように一極集中投資は非常に危険なので、投資を行う際は必ず長期分散投資を行うようにしてください。

◆投資の基本は長期分散投資

投資の対象は、株式や債券、不動産、金など、たくさんあります。

それぞれの投資対象は、景気動向によって大きく値動きが違うので、複数の資産に投資をしておけば、安定的に資産を増やすことが可能です。

また、株価は短期で見ると、大きく下落することもありますが、長期で見ると、順調に右肩上がりに上昇をしています。

なぜなら、世界経済が長期間全く成長しない可能性は低いからです。

安定的に資産を増やすためには、短期間で一攫千金を狙うのではなく、複数の資産に分散して長期で投資を考えるようにしてください。

確かにネット記事やSNSを見ると、短期間で資産を大きく上昇させたという内容を見かけることがありますが、それはごく一部の人に過ぎません。

一般の人が投資で資産を増やすためには、長期分散投資が最も確実な方法です。「急がば回れ」をぜひ実践してください。

<文/渡辺智>

【渡辺智】
某メガバンクに11年勤務。リテール営業やプライベートバンカー業務を経験。その後、外資系保険会社で営業。現在は金融ライターとして独立。FP1級保有。難しい「お金の話」をわかりやすく説明することをモットーにしています。公式SNS(X)は、@watanabesatosi7

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