画像提供:マイナビニュースネオマーケティングは6月20日、「コンビニ」についての調査結果を発表した。調査は2025年5月14日〜5月15日、全国の20歳以上の男女のうち、週に1回以上コンビニを利用する1,000名を対象にインターネットで行われた。
○最もよく利用するコンビニ
最頻利用チェーンは「セブン-イレブン」が全体で50.3%と、他チェーンを大きく上回る結果となった。「ファミリーマート」は21.5%、「ローソン」は26.2%と、いずれも30%に届かず、利用傾向には明確な差が見られる。年代別では「ローソン」が20代22.8%→50代29.7%へ緩やかに伸びる一方、「ファミリーマート」は27.2%→16.3%へと減少しており、年齢が上がるほど「ローソン派」が増える傾向がうかがえる。また、男女差は約1ポイント程度とわずかであり、利用される理由は性別よりも「家や職場の近さ」や「欲しい商品があるかどうか」といった要素の影響が大きいと考えられそうだ。
○コンビニで普段よく買っているもの
「コンビニで普段よく買っているもの」を尋ねたところ、全体では「ドリンク」(61.0%)、「弁当・おにぎり」(54.7%)、「サンドイッチ・パン」(52.2%)がTOP3という結果に。
年代別で見ると、20代のみ「スナック菓子」が「サンドイッチ・パン」を上回ったものの、20代〜60代共通で概ねこれらの"手軽×即食"商材は上位を占めていた。
一方、年代差が際立ったのは日用品系。「日用雑貨」は20代12.3%・30代13.4%に対し、40代9.5%・50代4.2%で、若年層が50代の約3倍購入している。
「生活用品」も20代11.4%、30代9.2%で、50代2.9%を大きく上回った。スーパーなどで販売している商品との差別化が比較的弱い、コンビニの日用品。ゆえに割高感が強い商材でもあるが、若年層は「多少割高でもすぐ買える利便性」を優先しやすいと推測できる。
また、「化粧品・薬品」は女性のみでも7.2%にとどまっており、コンビニコスメはまだまだ成長段階にある様子がうかがえる。
○コンビニで1回あたりに使う平均金額
コンビニで1回あたりに使う平均金額はどれくらいかを聞いた。平均購入額のボリュームゾーンは全年代とも「500円〜999円」で40%強を占め、次いで「500円未満」が30%前後と低単価が基本だった。
性別で比較すると、男性の方がやや平均購入額が高く、年代別で比較すると、20代と60代の平均購入額が共通して高いことがわかった。
特に20代については前掲した設問「コンビニで普段よく買っているもの」で「日用雑貨」「生活用品」「雑誌・書籍」の購入率が他の年代よりも高い傾向にあったため、それが平均購入額の高さに影響を与えていると考えられそうだ。
○コンビニでよく使用する決済手段
決済手段は「モバイル決済」が全体の52.3%で首位に。年代別では、特に30代が65.5%と突出している。
一方で「現金」比率は20代47.4%・30代45.8%と、若年層が40代以上より高い結果となった。
特に20代は学生も含まれるため、クレジットカードを持たない層も比較的多いと考えられ、モバイル決済以外の予備手段として現金を利用するシーンが多いと予測される。
一方、60代のシニア層は昔ながらの"現金派"が多いかと思いきや、「現金」は36.9%(年代別最低)にとどまり、「モバイル決済」43.7%、「クレジットカード」30.0%、「電子マネー」21.3%と、他の年代と引けを取らないキャッシュレス化を見せた。
○コンビニに対するイメージ
コンビニのイメージはどの年代においても「24時間営業が便利」「手軽に使える」が40%〜50%前後を占めた。
一方、年代差が際立ったのは、取り揃えている商品そのものに対するイメージだった。20代・30代は「常に新しい商品が出る」にそれぞれ24.6%・28.9%、「限定商品が豊富」にそれぞれ24.6%・19.7%と40代以上よりも高くなっている。"新作・限定商品を探すワクワク感"の提供という、商品の入れ替わりが激しいコンビニならではの強みを、20代・30代は最もよく理解していると言えるだろう。さらに、「価格が高い」というイメージは他の年代が40%超えの中、20代のみ29.8%にとどまっており、価格プレミアムへの抵抗感が小さいことがわかった。
○コンビニを利用する理由
コンビニを利用する理由は、全年代において「近くにあるため」「便利で手軽だから」がTOP2となったが、その内訳に違いが見られた。
40代以上では「近くにあるため」に50%以上、「24時間営業だから」に30%前後集まっている。
「近くにあるからついでになんとなく」「夜遅くて他のお店が空いていないから仕方なく」といった消極的なシーンも含まれるこれらの来店理由だが、20代〜30代は40代以上に比べやや低い結果(それぞれ45%前後・29%前後)に。
一方で、「他の店舗では手に入らない商品がある」(20代16.7%・30代19.0%)や「キャンペーンや割引があるから」(20代13.2%・30代13.4%)が40代以上と比較してやや高く、限定性やお得感を求めて自発的に立ち寄る姿が目立つ。
前掲した設問「コンビニに対するイメージ」でも示唆した通り、40代以上は"生活インフラ"としての利便性を重視する一方で、20代〜30代はコンビニを"目新しい商品・限定キャンペーンが楽しめる場"と捉える傾向があると考えられる。
○コンビニの、便利だと思う・興味をひかれる点
コンビニで、便利だと思う点、もしくは興味をひかれる点を尋ねた。全年代で全年代で「店舗の立地」「24時間営業」のいずれかがTOP2に。やはり"すぐに行ける""いつでも空いている"という2要素は、日本のコンビニにおいて外せない魅力である様子がうかがえる。
しかし、20代〜30代ではこの2項目がいずれも40%前後とやや低く、より"中身"を評価する傾向が際立つ。同年代では「キャンペーンや割引」(20代29.8%・30代28.9%)、「話題性がある商品」(同15.8%・14.1%)が他の年代より高くなっていた。
キャラクターやアイドル・アーティストとのコラボキャンペーンや、コピー機を使用したブロマイド販売など、"推し活"とのつながりも昨今より強まっているコンビニ。若年層ほど、コンビニを新商品や限定企画にアクセスできる"エンタメ消費の場"として捉え、自発的に来店する傾向が強いのかもしれない。
また、20代は「高速で買えるレジやセルフレジ」19.3%と全年代で最多。待ち時間短縮への期待も強めだった。将来的な無人コンビニなどへの受容率も高そうだ。
○コンビニの利用頻度を高めるために必要だと思うこと
利用頻度を高める条件としては「価格の引き下げ」が全体の57.9%でトップだったが、20代のみ37.7%と大きく低下し、価格より体験価値を重視する姿勢が表れた。また、20代は「商品の種類を増やす」ことへの関心が27.2%と、全年代で最多だった。たとえ割高でも、複数のチャネルをはしごすることなく、ワンストップで用事が済ませられる利便性を求めているのかもしれない。
一方で、40代以上は価格訴求が60%強、「キャンペーンや割引の実施」30%強と、家計負担の軽減が最優先だった。20代には限定商品や特定商材のラインアップ拡充など"楽しさ+便利さ"を、40代以上には恒常的な値下げやボリューム割引など"節約メリット"を訴求することが、来店頻度を底上げするカギになりそうだ。
○コンビニでの購買活動、メディアの影響は?
SNSや広告などのメディアの影響を受けると回答した割合は全体で41.9%だった。性別では女性の方が影響を受けやすく、また、年代が下がるにつれてその度合いは高まっていく。40代は45.1%、50代と60代はいずれも約32%にとどまる一方で、30代は52.8%、20代では64.0%にまで上った。
前掲した設問「コンビニを利用する理由」で明らかになったように、20〜30代の若年層は商品の限定性や目新しさを求め、コンビニに自発的に立ち寄る傾向が強い。商品情報やキャンペーンを発信し"新鮮さ"を伝え続けることは、若年層を取り込む上で最重要事項と言える。
○コンビニのアプリを利用しているか
コンビニのアプリ利用は「毎日利用している」「週に数回利用している」アクティブ層が全体で43.6%と、40%強に定着している。
年代別では40代が47.1%で最も高く、続く20・30代(46%前後)よりわずかに上回った。情報感度の高い若年層のみならず、仕事帰りや昼休みにコンビニに寄る機会が多いと思われるミドル層もアプリを積極活用している実態がうかがえる。
また、全年代で「利用したことがあるが、現在は利用していない」が約10〜15%存在している。提供クーポンや操作性といったアプリ自体のクオリティ向上はもちろんのこと、離反層へのリテンション通知や継続利用インセンティブといった細かな施策で、離反をいかに食い止められるかが課題と言える。
○コンビニのアプリを利用している理由
アプリ利用理由の最多は全体で「ポイントが貯まる・使えるから」(58.7%)、次いで「限定クーポンや割引がもらえるから」(48.6%)、「お得なキャンペーンがあるから」(36.9%)と"節約系"が上位を占めた。
しかし20代は、コンビニの商品価格に対し他の年代よりも無頓着な姿勢を見せた前設問(コンビニの利用頻度を高めるために必要だと思うこと)同様、価格以外の体験価値を重視する傾向が鮮明だ。具体的には「アプリ限定の特典やサービス(例:誕生日特典等)があるから」が30.0%と40代(16.0%)を大きく上回り、"アプリを入れていたから得られる特別感"を強く評価している。
さらに20代は「商品情報や新商品が簡単に確認できるから」(15.7%)や「購入履歴やおすすめ商品が表示されて便利だから」(20.0%)も他の年代より高く、アプリによる情報提供を好意的に受け取っている様子がうかがえる。
一方50代・60代では、ポイント・クーポン支持率がそれぞれ約70%・50%で安定している。お得感を軸にアプリを活用する"家計防衛"層が主流で、誕生日特典などの加点要素はサブ的扱いにとどまることがわかった。
○コンビニのアプリを利用していない理由
アプリ非利用の最大理由(全体)は「特に必要を感じないから」(33.5%)だが、20代〜30代では20%前後と他の年代より低く、50代47.5%でピークに達した。
特に20代においては必要性より「アプリを使うのが面倒だから」(25.0%)と"なんとなく敬遠している"状態が多く、また、「アプリにログインする手間が面倒だから」(15.9%)も比較的高い傾向に。アプリの必要性は一定程度理解しつつも操作のハードルで止まっている段階であるため、仕組みさえ簡単になれば利用へ転換し得る余地が大きいことが読み取れる。
○コンビニ以外でよく利用する店舗
最頻利用は「スーパーマーケット」が全体の76.2%で不動だが、20代〜30代では約64〜73%とやや低く、その差を埋めるかのように「ドラッグストア」(同世代約57〜63%)が台頭している。しかし、50代以上では状況が逆転。「スーパーマーケット」の利用率は80%前後まで伸び、ドラッグストアは50%台へ緩やかに下降していた。
スーパーが価格においてトップを走る一方で、コンビニが"便利&新しさ"を、ドラッグストアが"日用品をワンストップでまとめ買いできる場"を担う現在、両者は価格訴求だけでなく限定商品やコラボでいかに差別化するかが利用者を引き付けるカギになりそうだ。(Yumi's life)