「最悪、総理を出せなくなる」危機感広がる…“少数与党”石破政権が迎える運命の参院選 野党は連立に慎重か【edge23】

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2025年06月29日 06:08  TBS NEWS DIG

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7月の参院選の「前哨戦」とされた東京都議会議員選挙。結果は自民党の「想定以上」の大敗で、野党各党からも驚きをもって受け止められるほどだった。国会会期中に早くも「スタートしていた」参院選の行方を探る。

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「負ければ最悪総理を出せなくなる」運命の参院選

総理が何かを実現しようとしても法案が通らない。今国会は、近年とは状況が大きく違った。過去、安倍・菅・岸田の各総理は官邸で政策を打ち出し、それに与党が応えるという形だった。

今回、権力の舞台が「官邸」から「国会」へと移り、政党間協議が重視されるようになった。結果として石破総理よりも、自民党の森山幹事長など党幹部の存在感が強まったのだ。

来月の参議院選挙で、石破総理は勝敗ラインを「与党で過半数」と設定している。改選となる現職は66人だが、目標は50議席。この目標設定について「低すぎる」という声もあるが、森山幹事長など自民党執行部は「非常に難しい目標」と漏らす。

仮にこの「50議席」を割った場合どうなるのだろうか。参議院でも衆議院と同じように野党との合意が必要になり、法案を通すための手間が今の2倍、3倍になる可能性がある。さらに、石破総理に対して「もうやめてください」という声も党内から上がりかねない。

そうなると新たな総裁選挙が行われるが、衆議院も参議院も少数与党の状況では、自民党の新総裁が自動的に新総理になるとは限らない。「自民党が負けることは基本的に許されない。負けた場合には最悪、総理を出せなくなってしまう」という危機感も広がっている。

では、「50議席」を上回ることができた場合は、どのようなシナリオが想定されるのだろうか。目標を達成したと言っても、少数与党の“現状維持”に過ぎない。参院選後には臨時国会が想定されていて、今度は補正予算案の扱いが焦点となる。もし野党の協力が得られなければ予算案が通らない可能性があり、石破総理は「予算案が通らない時には解散総選挙は当然選択肢にある」と発言している。支持率が好転しないまま解散総選挙となるといよいよ政権を担うことができない可能性もある。つまり、参院選の目標を割り込んでも達成しても、総理大臣が変わる可能性を孕んでいるということだ。

野党側は、参院選で勢いがついた場合は「望むところ」という姿勢だ。ところが、仮に与党が追い込まれた状況になったとしても、新たな連立形成は容易ではないとの見方も強い。90年代、社会党が自民党と連立を組んだ後に議席を激減させた歴史もある。乱立する野党をまとめるリーダーが不在の中、安易な連立には慎重な意見も根強くある。

 “少数与党”の苦しい綱渡り 「何をするにしても野党の協力が必要」

31年ぶりの少数与党として始まった通常国会。自民党にとって、この状況がどれほど苦しいものだったのか。

「少数与党っていうのは本当に大変だ」この一言に尽きる。自民党が少数与党という形は、国会で何を決めるにしても与党以外の協力を得なければ何一つ進まないという状況を生んだ。

通常国会の最終盤には立憲民主党が内閣不信任案を提出するのではないかという動きもあった。実際には提出されなかったが、閣僚経験者を含む何人かの自民党議員からは「むしろ不信任案を出して欲しかった」という声すら上がっていたという。少数与党の苦しい状況から抜け出したいという本音だ。

今国会では、提出された59本の法案のうち58本が成立したが、政府が提出した2割の法案が修正された。これは極めて異例のことであり、立憲民主党の野田代表の言う「熟議の国会」は達成できたのではないか。

「憲政史上初の委員長解任」参院選控えた各党の思惑

国会の終盤、野党の動きに変化が訪れた。6月11日、ガソリン減税法案を野党7党が共同で提出したのだ。

この法案は、暫定税率を廃止するなどガソリン価格の負担軽減を図るものだ。しかし、与党側が審議入りに応じなかったため、野党側は衆議院の財務金融委員長の解任決議案を提出。その後、野党側の賛成多数で財務金融委員長の解任が決まった。これは戦後初めての出来事だった。

この結束に至った背景には、参議院選挙を控えた各党の思惑があった。「参院選挙を前にすると、やっぱり自民党との対決姿勢を見せたい」という野党の本音だ。自然と各党の思惑が一致し、結果として野党が一丸となる形になった。

このように31年ぶりの少数与党による国会運営は、政治の力学を大きく変えた。参院選の結果次第では、日本の政治情勢がさらに大きく動く可能性も十分にある。政権与党の命運を左右する夏の戦いが、今まさに始まろうとしている。

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  • 国民をちゃんと見ずに自分達ばかり私腹を肥やす馬鹿ばかり。物価も上がり米もなく給料は上がらず苦しいだけなのに見て見ぬふり。イヤ、見てないし�फ�á��ܤ��
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