
Q. 皮膚科で処方されるヒルドイドは、市販品より美容効果も高いのでしょうか?
Q. 「最近乾燥によるシミやたるみがひどく、いろいろな基礎化粧品を試しています。友人からは『皮膚科に行けばヒルドイドが処方してもらえるし、保湿効果も美容効果もそちらの方が高い』とすすめられました。美容効果も含めて、やはり病院で処方されるものは市販品よりも効果が高いのでしょうか?」A. ヒルドイドが美容に最適とは限りません。自分に合う製品を探しましょう
ヒルドイドはヘパリン類似物質を含む医療用の保湿薬です。皮膚科や小児科で乾燥肌などの治療に用いられており、保険適用にはなりませんが、中には美容目的で使用されている人もいるようです。しかし自費だとしても、医師の診断と処方が必要です。一部の口コミサイトやソーシャルメディアなどでは、ヒルドイドが「最強の美容クリーム」として紹介され、しわやシミ、美白に効くといった情報もしばしば見られます。しかし皮膚科医としては、これらの効果はいずれも科学的に実証されていないものですので、注意が必要だと感じます。
保湿による間接的な美容効果として、肌の潤いによるしわの軽減などは一時的に認められるかもしれませんが、美容成分としての積極的な効能は明確ではありません。
もしヒルドイドに興味があるなら、同じようにヘパリノイドを含む市販品として「HPクリーム」や「HPローション」などを試してみるのもよいでしょう。これらは医師の診察を受けずに、薬局などで購入できます。
美容目的であれば、こうした市販品の使用も1つの選択肢となります。処方薬だからさまざまな悩みにも効くということはありません。自分に合った製品を適切に選ぶことが大切です。
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野田 真史プロフィール
日米での経験豊富な皮膚科専門医。東京大学医学部を卒業後、皮膚科診療を行う。東京大学大学院医学系研究科卒業(医学博士)。ニューヨーク州医師免許を取得し、2014年からニューヨークのロックフェラー大学皮膚科で診療、研究。2016年東京大学医学部附属病院皮膚科助教。2018年7月1日、池袋駅前のだ皮膚科を開業。(文:野田 真史(皮膚科医))