「寝ないと痩せない」は本当か? 4時間しか寝れない睡眠不足環境と体重の関係を調査 22年発表の研究

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2025年07月07日 08:10  ITmedia NEWS

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 米Mayo Clinicなどに所属する研究者らが2022年に発表した論文「Effects of Experimental Sleep Restriction on Energy Intake, Energy Expenditure, and Visceral Obesity」は、睡眠制限が体重増加と内臓脂肪蓄積に及ぼす影響を調査した研究報告だ。


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 実験は、健康な成人12人を対象に21日間の入院環境下で実施した。参加者を睡眠制限群(1日4時間睡眠)と対照群(1日9時間睡眠)に無作為に割り当て、両条件を3カ月以上の間隔を空けて経験させるクロスオーバー試験を行った。実験期間中、参加者は自由に食事を摂取できる環境に置かれ、エネルギー摂取量やエネルギー消費量、体重、体組成、脂肪分布などが詳細に測定された。


 結果、睡眠制限された人たちは、1日当たり平均308キロカロリーも多くカロリーを摂取するようになった。特にタンパク質と脂質の摂取量が増加し、この過剰なエネルギー摂取は睡眠制限の初期に最も顕著に現れた。


 一方、基礎代謝率や身体活動によるエネルギー消費には変化が見られなかった。つまり、睡眠不足は食欲を増進させるが、エネルギー消費を増やすことはないという、体重増加にとって最悪の組み合わせを生み出すのだ。これにより、わずか2週間の睡眠制限で対照群と比較して0.5kgの体重増加を観察した。


 しかし、より重要な発見は体脂肪の分布に関するものだ。CTスキャンによる詳細な分析の結果、睡眠制限群では腹部の総脂肪面積が9%増加し、特に内臓脂肪は11%も増加していた。対照群では内臓脂肪の増加は見られなかった。


 さらに3日間の回復睡眠期間中、食事摂取量と体重は正常化したにもかかわらず、内臓脂肪は増加し続けた。これは週末の「寝だめ」では平日の睡眠不足による代謝への悪影響を完全には解消できないことを示している。


 Source and Image Credits: Naima Covassin, Prachi Singh, Shelly K. McCrady-Spitzer, Erik K. St Louis, Andrew D. Calvin, James A. Levine, Virend K. Somers, Effects of Experimental Sleep Restriction on Energy Intake, Energy Expenditure, and Visceral Obesity, Journal of the American College of Cardiology, Volume 79, Issue 13, 2022, Pages 1254-1265, ISSN 0735-1097, https://doi.org/10.1016/j.jacc.2022.01.038.


 ※ちょっと昔のInnovative Tech:このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。通常は新規性の高い科学論文を解説しているが、ここでは番外編として“ちょっと昔”に発表された個性的な科学論文を取り上げる。X: @shiropen2



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