
家づくりの際、「いつかはアイランドキッチンを」と夢見てきた人も多いのではないでしょうか。調理のしやすさや開放感にひかれ、雑誌やSNSでも人気の高いスタイルですが、実際に導入してみると、思わぬ使いづらさを感じることもあるようです。
【漫画】あれ?このキッチン…「もしかして、ちょっと使いにくい??」(全編を読む)
「長年の転勤。40代でやっと決まった注文住宅」
Aさん(関西在住、40代、パート)は、同じ会社で営業職だった夫と出会い、転勤の辞令を機に結婚。関東に移り住んでからは、会社が用意した2DKの社宅で一人娘の子育てに励んできました。
お世辞にも広くて快適とは言えない社宅でしたが、家賃・光熱費・通信費の負担が1割で済むというメリットがあり、いずれは夫婦の地元である関西本社への転勤が見込まれていたことから、数年間は社宅で過ごすことにしたそうです。
といいながら、我慢ができなかったのがキッチンでした。2口の据え置き型ガスコンロスペースと、広いとは言えないシンクの間の作業スペースはわずか45cmほどの狭さ。壁付けタイプのキッチンだったため、料理をしているとダイニングスペースで遊ぶ子どもの様子も視界に入りません。
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また、背の低いAさんにとって頭上のキッチン収納に手が届く範囲はほんのわずかでした。実家にいたころはよくチャレンジしていたお菓子やパン作りも、この社宅に住んでいるときは「作りたくても場所がない」という状態でまったくやる気になりませんでした。
「将来家を買ったら絶対アイランドキッチンにしたい」
Aさんの実家のキッチンも広さはあるものの、いわゆる「昭和の台所」といった趣でした。日当たりが悪く、低い天井に暗い室内。それでも慣れてはいましたが、「いつかは広々としたアイランドキッチンを」と長年憧れを抱いていました。
そんな折、関西への転勤辞令が出たことで、夫から「注文住宅を建てよう」と提案されます。「インテリアも間取りも全部好きなようにしてくれていいから。でも、アイランドキッチンだけは絶対にしたい!」と、Aさんは即答したそうです。
「むしろ料理がしにくい!?」
幸いなことに予算内で広めな土地が見つかり、24畳のLDKには、希望通りのアイランドキッチンが完成しました。
広いシンクに4つ口のコンロ、そして大理石の天板で作った作業スペース。思い描いていた夢と希望を全部叶えることができました。料理をしながらリビングのテレビも、ダイニングテーブルで宿題をする子どもの姿も見渡せる、理想の空間に、最初は満足度100%だったAさん。
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しかし、次第に「あれ?このキッチン…もしかして、ちょっと使いにくい??」と感じることが増えてきました。
たとえば、コンロで火を使っている最中に、冷蔵庫やダイニングボードの物を取りに行こうとすると、「1歩」では届かず、火を止める必要があること。
キッチンの掃除をする際も、片側からでは手が届かないため、作業台を拭くだけで時間がかかること。
キッチンの周りを歩くのに、うっかりすると角に小指をぶつけること。
換気扇をつけていても匂いがこもりやすく、油を使う料理の際にはLDKのカーテンを開け、ファブリック類を廊下に避難させていること。…などなど。
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「ずっと狭い台所を使って料理をしてきたわけですから、結局それに慣れてるんですよね。全部手が届く範囲にあるコンパクトなキッチンの方が、使い勝手が良かったかもしれません」とAさん。
憧れの「広々」とした空間は、必ずしも快適とは限らないのかもしれません。
(まいどなニュース特約・中瀬 えみ)
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