世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の日本本部=3月25日、東京都渋谷区 山上徹也被告(44)が安倍晋三元首相銃撃の動機として挙げたことで、改めて高額献金などが社会問題化した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)。東京地裁の解散命令決定に対する即時抗告審が東京高裁で続いており、関係者によると、年内にも判断が示される可能性があるという。
教団への批判の高まりを受け、文部科学省は2023年10月、東京地裁に解散命令を請求した。地裁は今年3月、「類例のない膨大な規模の被害を生じさせた」として、民法上の不法行為を根拠とした初の解散命令を出した。
教団は4月、解散命令を不服として高裁に即時抗告した。教団幹部などによると、文科省が7月末を期限に反論書面を出すことになっており、既に秋まで進行協議の予定が入っている。
過去に解散命令が出たオウム真理教と明覚寺(和歌山県)のケースでは、即時抗告審の期間はそれぞれ約2カ月と約8カ月だった。関係者は「年末か年明けごろに判断を示すのではないか」との見方を示す。
高裁が地裁決定を支持した場合、その時点で解散命令の効力が生じ、教団は宗教法人格を失う。宗教活動は続けられるが、礼拝施設などの財産を処分しなければならないほか、税制上の優遇措置を受けられなくなる。
ただ、解散した場合の財産の移転先として、教団が09年6月に北海道帯広市の「天地正教」を指定していたことが判明。被害者救済に当たる全国統一教会被害対策弁護団は「解散しても活動を続ける恐れがある」と懸念している。