深夜ドラマ『晩酌の流儀4』が異例の2クール放送予定、主演・栗山千明が引っ張りだこの理由

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2025年07月25日 21:00  週刊女性PRIME

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栗山千明

 最近、深夜にテレビをつけると栗山千明の姿を見かけることが多くないだろうか。それもそのはず、今年10月からの秋クールを含めると19クールで10作、つまり2クールに1作以上のペースで深夜ドラマに出演。しかもそのほとんどが主演という、まさに「深夜ドラマの女王」と呼ぶのにふさわしい大活躍ぶりなのだ。

『晩酌の流儀4』異例の放送

 中でも人気なのは、現在テレビ東京系で放送中の『晩酌の流儀4』。夏クールだけでなく、10月からの秋冬クールの放送も決定し、半年間連続で放送を予定している。これは同局の深夜ドラマの代表作である『孤独のグルメ』『きのう何食べた?』などでもなかった異例のことだ。

 ヘビーローテーションが始まったのは2021年4月クールのこと。そこからの深夜出演作を並べてみよう。

2021年4月・『ラブコメの掟〜こじらせ女子と年下男子〜』(テレビ東京系)主演
2022年1月・『ケイ×ヤク−あぶない相棒−』(読売・日本テレビ系)ヒロイン
2022年7月・『晩酌の流儀』(テレビ東京系)主演
2023年1月・『リエゾン−こどものこころ診療所』(テレビ朝日系)
2023年7月・『晩酌の流儀2』(テレビ東京系)主演
2023年10月・『けむたい姉とずるい妹』(テレビ東京系)主演
2024年6月・『晩酌の流儀3』(テレビ東京系)主演
2025年4月・『彼女がそれも愛と呼ぶなら』(読売・日本テレビ系)主演
2025年6月・『晩酌の流儀4 〜夏編〜』(テレビ東京系)主演
2025年10月・『晩酌の流儀4 〜秋冬編〜』(テレビ東京系)主演

 どうしてここまで彼女が重宝されるのだろうか。

 1984年生まれの栗山は子供時代にモデル活動をスタート。97年には篠山紀信撮影の写真集『神話少女〜栗山千明』が出版され、その美少女ぶりに注目が集まった。

 ただ当初は肌の白さや、今よりクールだった風貌から、ホラー的な役柄を求められることが多かった。97年の女優デビュー作となった映画『死国』では死者の魂と交霊する家の娘役だし、00年のドラマ『六番目の小夜子』の謎めいた転校生もはまり役だった。

 そして同年の映画『バトル・ロワイアル』のクラスで孤立しがちな美少女役がクエンティン・タランティーノ監督の目に留まり、03年の映画『キル・ビル Vol.1』での鉄球を振り回す女子高生役につながったのは有名な話である。

 つまり初期の彼女は神秘的だけど近づきがたいイメージを大人たちに作り上げられていた。正直、普通の和やかなホームドラマなどには馴染まず、過去にもそういう売り方をして、そのイメージに縛られて終わってしまった俳優もいた。ただ彼女自身は、ハリウッド作品に出演したことについてもお高くとまることはなく、インタビューでは二十代の頃から「自分でもよくやったなと思う」と共感を覚えるような言い方をしていた。

女優・栗山千明の真骨頂

 筆者の記憶に残っているのは11年のドラマ『リバウンド』だ。主人公の親友役だったが、そのさばさばした性格や、若いのに煙草を喫う姿が格好良くて、“神秘枠”は卒業して等身大の役も演じるようになったんだなと感じたものだ。20代、30代と年を重ねるごとに、その傾向は増していった。

 そして、アラフォーになった今、深夜ドラマで引っ張りだこな理由は、“意外な親しみやすさ”なのではないか。

 まず21年『ラブコメの掟』の「有能で恋愛経験豊富な編集者」という設定は、彼女のパブリックイメージどおりだったが、実は漫画オタクの恋愛初心者で、後輩からのアプローチにあたふたする姿は笑いを誘った。

『彼女がそれも愛と呼ぶなら』も、「3人の彼氏と同居」という設定を聞くと“魔性の女” を想像するが、実際には男たちの前で激しく落ち込んだり友達みたいに相談したり、魔性とは縁遠いムードだった。3人もの男と同時進行しながら、いやらしさを感じさせないのは、彼女の真骨頂といえよう。

 そしてもはや代表作になりつつある『晩酌の流儀』。毎日の晩酌に命を賭ける主人公は、汗をかいてビールを美味しくするためだけに、職場からスーパーまでダッシュしたり(信号待ちの時間もその場で足踏み)、すすんで着ぐるみの中に入って汗だくになったりする。そうした、美人なのにどこか行動が笑える役柄が、よく似合う。そして何より、喉をそらせてビールを飲む表情が実に美味しそうで、彼女自身がこの役を楽しんでいるように見えるのだ。

 ゴールデンタイムのドラマの主演は20代後半から30代前半がピークで、それを過ぎると徐々に縁遠くなっていく。近年は深夜ドラマが増えているが、ゴールデンと比べて尺が短いし制作費も安い。ゴールデンで主役やヒロインを演じていた中には敬遠する俳優もいる。その点、彼女は断らないし、出演すれば知名度があるから確実な視聴も期待できる。だから制作サイドに信頼されるのだろう。

 そして40歳を過ぎた今、近寄り難かった10代よりもむしろ、チャーミング度が増しているようにも見える。『彼女がそれも愛と呼ぶなら』では、若い恋人(伊藤健太郎)と一緒にいるところを見た女子高生たちが、「あんなオバサンと付き合ってんの? キモッ」と悪口を言うシーンがあったが、正直そのセリフには無理があるくらい、何の違和感もなかった。

 そんなところが、制作陣にも視聴者にも愛される理由ではないだろうか。

古沢保。フリーライター、コラムニスト。'71年東京生まれ。『3年B組金八先生卒業アルバム』『オフィシャルガイドブック相棒』『ヤンキー母校に帰るノベライズ』『IQサプリシリーズ』など、テレビ関連書籍を多数手がけ、雑誌などにテレビコラムを執筆。テレビ番組制作にも携わる。好きな番組は地味にヒットする堅実派。街歩き関連の執筆も多く、著書に『風景印ミュージアム』など。歴史散歩の会も主宰。

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  • ずいぶん温和な顔になった。キツイ頃はSMの女王様みたいな顔だったが。昔の2ちゃんねるにあった「栗山千明に○○されたい」のコーナーが気が狂ってて好きだった。
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