広範囲の津波警報、夏休みの観光地を直撃 3・11を想起する人も

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2025年07月30日 20:01  毎日新聞

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毎日新聞

津波警報を受け、海水浴客が避難した神奈川県藤沢市の片瀬東浜海水浴場=2025年7月30日午後0時7分、本社ヘリから

 ロシア・カムチャツカ半島付近を震源とする30日の地震では、国内の広範囲に津波警報が発表された。太平洋沿岸では鳴り響くサイレンに緊張が走り、夏休みシーズンの海水浴場や観光施設が相次いで閉鎖に。東北地方では14年前の東日本大震災を思い起こす住民も多く、避難所で不安な時間を過ごした。


 千葉県内では、開設されていた47カ所の海水浴場が全て閉鎖された。大網白里市の白里海水浴場には警報が出た際に30人以上がいたが、ライフセーバーや海の家の従業員が避難誘導した。市商工観光課の担当者は「普段から津波に備えていたが、実際に防災スピーカーのサイレンが鳴ると気持ちが焦った」と話した。


 茨城県日立市の久慈浜海水浴場も注意報を受けて閉鎖になった。海水浴客を誘導し、監視を続けていたライフセーバーの男性(49)は「みんな素直に従ってくれた。大きな津波は見ていないが、多少の潮位の上げ下げは感じられる」と話し、海を見つめていた。


 観光施設の休館も相次いだ。海に近いアクアワールド茨城県大洗水族館(大洗町)では、開館中で観光客がいたが、臨時休館に。高台に避難した客と職員たちは、飲み物や氷を分け合って暑さをしのいでいた。水族館の桜健太郎・経営企画課長は「年2回、訓練を実施している。実際に避難するのは初めてだが、問題なく実行できた」とほっとした様子だった。


 鴨川シーワールド(千葉県鴨川市)や新江ノ島水族館(神奈川県藤沢市)も、警報を受けて臨時休館を発表した。


 一方、2011年に起きた東日本大震災の被災地。児童・教職員84人が大津波の犠牲になった宮城県石巻市立大川小の遺構では、訪れた茨城県立太田第一高の生徒ら約50人が語り部の遺族から体験談を聞いていた時に警報が発表された。


 同校では震災から毎年、ボランティアをするため石巻を訪れている。生徒らは避難所となった中学校に移動し、避難者や乗用車の誘導を手伝った。毎年参加している3年生の山本瑛舜(えいしゅん)さん(17)は「まさかこんなことになるとは思わず、びっくりした。たくさんの車が高台に上っていくのを見て、宮城の人は津波への意識が高いと思った」と話した。


 震災で甚大な被害を受けた岩手県釜石市でも、多くの住民らが高台に逃げた。市中心部の寺院「仙寿院」には、近くの住民やこども園の園児ら計200人以上が避難。芝崎恵応住職は「震災で1000人以上が避難してきたことを思えば少ないが、停電など不測の事態に備えて備蓄食料で昼食を準備した。長丁場も覚悟している」と話した。


 仙台市は小中学校24校に避難所を開設し、付近の住民が避難した。視聴覚室にはパイプ椅子が並び、避難者に飲料水が配られた。震災で自宅が全壊した内海成子さん(73)は「突然の警報に驚いた。これはただ事じゃないと感じ、あの時を思い出した」と疲労感をにじませていた。


 各地で記録的な暑さが続く中、避難者の体調管理も課題となる。避難所を運営する仙台市の担当者は「場合によっては支援物資などの必要も出てくる。避難が長期化しなければいいが……」と心配していた。【中村聡也、田内隆弘、竹田直人、奥田伸一、遠藤大志、井手一樹】



このニュースに関するつぶやき

  • 「津波警報の煽りがうるせえ」と様々な処で目にしたけど、そういう人はテレビを消してスマホの電源も落として布団を被って寝ればいいと思うの。30cmで歩行困難になり1mで想定死亡率100%だけどね。
    • イイネ!18
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