浦上天主堂を背に握手を交わす森内浩二郎さん(右)と米ウィリアムズ大のジェームズ・ノーラン・ジュニア教授=9日午前、長崎市 長崎市の浦上天主堂で9日、80年ぶりに左右の塔にそろった二つの鐘が同時に鳴らされた。「双塔の鐘」が深みのある音色で共鳴すると、集まった市民らが静かに祈りをささげた。
天主堂には左右の塔に一つずつ鐘が備えられていたが、原爆投下で左側の小鐘が大破。以降、二つの鐘が共鳴することはなかったが、7月、同市の森内浩二郎さん(72)と、米国の原爆開発計画に祖父が関わったという米ウィリアムズ大のジェームズ・ノーラン・ジュニア教授(62)の協力で復元された。
原爆がさく裂した午前11時2分に合わせ、双塔の鐘が鳴らされると、2人は手を合わせて黙とうをささげた。森内さんは「生きている間に二つの鐘がそろって感慨深い。戦争をしてはいけないというメッセージを伝えたい」と話した。
天主堂ではこの日早朝、原爆犠牲者を追悼するミサが行われ、約200人が平和を祈った。4歳の時、爆心地から約2.2キロの長崎市西山で被爆した山田笑子さん(84)は「何年たっても犠牲者のために祈りをささげる」と語っていた。

80回目の原爆の日の朝、浦上天主堂で行われたミサで犠牲者のために祈りをささげる人たち=9日午前、長崎市