参成党の憲法丸ごと入れ替える「創建案」は法律上不可能…専門家も「提案が本気でないと理解すべき」

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2025年08月12日 06:10  web女性自身

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7月20日投開票の参院選で大敗を喫した責任をめぐり、石破茂首相(68)に向けた退陣要求が自民党内から噴出している。敗因の一つとして、従来の保守層の支持を失ったことが挙げられているが、その受け皿となったのが参政党だろう。



参政党は今回の選挙で1議席から14議席と大幅に議席を増やし、非改選を含めて参院で15議席を確保。25日、参院議院運営委員会理事会で常任委員長のポストが15人以上の会派に割り当てられることが決まり、初めての委員長ポストとなる懲罰委員長が割り当てられた。



選挙期間中、同党が掲げた「日本人ファースト」は大きな共感を呼び、支持拡大の一端を担ったが、外国人をめぐる諸政策の見直しを訴えたこのスローガンには“差別的”だとする批判も多く寄せられた。そんな「日本人ファ―スト」が色濃く反映されているのが、参政党が今年5月に公表した「新日本国憲法(構想案)」だ。



たとえば、こんな条文がある。



《国民の要件は、父または母が日本人であり、日本語を母国語とし、日本を大切にする心を有することを基準として、法律で定める》(第五条)



同党の神谷宗幣代表(47)は投開票日の20日に放送されたTBSラジオの選挙特番で、条文にある《日本を大切にする心》をどのように量るのかを問われた際、「宣誓してもらう」ことを一案として挙げるなど、そもそもの定義が曖昧という印象が拭えない。



そのほか、《国は、主権を有し、独立して自ら決定する権限を有する》(第四条)という条文をめぐって、現行憲法の「国民主権」が否定されているとし、SNSでも大きな波紋を呼んだ。神谷氏は6月のX投稿で、《国家の主権を守らないと国民主権は成立しないんです。国民主権は当たり前のことです》と説明したが、“あえて明記しない理由”としては不十分だという批判が多く上がった。なお、神谷氏は開票センターで行った会見で、「心配なら書けばいい」と発言している。



参院選で躍進を果たした後も、なにかと話題に上がる参政党の草案だが、意外にも同党はいわゆる「改憲派」ではない。というのも、神谷氏は6月に発刊した著書『参政党と創る新しい憲法』(青林堂)のなかで、《参政党は、憲法を改正する単なる「改憲」ではなく、憲法を一から創る「創憲」という考え方に立っています》と明かしているからだ。



施行78年の歴史を誇る日本国憲法を“ごっそり”作り替えるという壮大なスケールを描く神谷氏だが、憲法学者で東京都立大学の木村草太教授は本紙の取材に、《憲法96条の改憲手続は、憲法を丸ごと入れ替える革命の手続ではなく、日本国憲法の修正のための手続を定めています。これを受け、国会法68条の3は、「憲法改正原案の発議に当たつては、内容において関連する事項ごとに区分して行うものとする」と定めています》と話す。



続けて、《このため、改憲を提案する政党は、「項目」を区分して、部分的な修正案を提案するのが標準です。自民党や日本維新の会の公約集でも、そのような提案方法がとられています》と解説した。



そうなると、参政党が目指す「創憲」の手続きは法律上実現不可能ということになるが、問題はそこではないという。木村氏は以下のように評した。



《神谷代表は国会議員ですから、当然、国会法の規定を知っているはずです。知っていて、あえて、憲法を丸ごと入れ替える提案をしているわけですから、可能・不可能以前に、提案が本気ではないと理解すべきです》

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このニュースに関するつぶやき

  • 「関連する事項ごとに区分」されてさえいれば良いなら、憲法草案をその「関連する事項ごとに区分」して提案すれば良いわけで、「創憲の手続きは法律上実現不可能」とはならないのでは?
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