会談を前に、韓国の李在明大統領(左)と握手する石破茂首相=23日午後、首相官邸(代表撮影) 石破茂首相は23日、韓国の李在明大統領と首相官邸で会談した。李氏の来日は6月の就任後初めて。両首脳は1965年の日韓国交正常化から60年間で築かれた基盤に基づき、日韓関係を「未来志向」で安定的に発展させていくことで一致。首相は、植民地支配への反省とおわびを明記した98年の日韓共同宣言を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を「全体として引き継いでいる」と伝えた。
両政府は、会談の成果を「共同プレスリリース」として取りまとめた。首脳間の共同文書は17年ぶり。
両首脳の会談は6月にカナダで行われて以来。韓国大統領が同盟国の米国より前に2国間外交のため来日したのは国交正常化以降で初めてだ。
会談後の共同記者発表で、首相は「厳しい時代だからこそ、手を携え、より良い未来に向かって歩みを進めていく」と強調。李氏は「日本訪問が真の信頼を積み重ねていく旅の始まりになることを期待する」と応じた。
会談は2時間弱で、両首脳は相互に緊密に行き来する「シャトル外交」の早期再開を評価。威圧的な動きを強める中国、軍事協力を深める北朝鮮とロシアの動向を踏まえ、日韓、日米韓の連携推進で一致した。
経済を含む安全保障分野で戦略的な意思疎通を強化することや、水素、人工知能(AI)など先端産業で協力を拡大することを確認。少子高齢化、地方創生など社会問題に関する当局間協議の立ち上げでも合意した。
人的交流の拡大に向け、若者が働きながら海外生活を楽しむ「ワーキングホリデー」制度の利用に必要なビザ(査証)取得の回数制限を、1回から2回に拡充する。

韓国の李在明大統領(左から2人目)と会談する石破首相(右端)=23日午後、首相官邸(代表撮影)

日韓共同記者発表で発言する石破茂首相(右)。左は韓国の李在明大統領=23日午後、首相官邸