「緊張感欠き不手際重ねる」=ずさん対応、署も県警本部も―川崎事件検証、問題赤裸々に

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2025年09月05日 07:31  時事通信社

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 危機感の欠如、基本を欠く捜査、連携不足―。岡崎彩咲陽さん=当時(20)=の遺体が見つかった事件を巡る神奈川県警の検証報告では、事態急変の予兆を見逃した県警の対応の不備が次々と明らかになった。携わった警察幹部は「人身安全事案への緊張感がなく、ミスや不手際が複合的に積み重なった」と話した。

 元交際相手の白井秀征被告(28)によるストーカー行為が再発した昨年12月、岡崎さんは9回も電話で川崎臨港署に被害を相談。だが、対応した当直の警察官らは人身安全事案と扱わず、署長や県警本部への報告も不十分だった。記録化もずさんで、うち2回は検証でも通報内容がつかめなかった。

 不適切な初動対応の背景とされたのは「トラブルは解決済み」という署員の誤った認識だった。報告書は、事態が沈静化した昨年11月に、署が拙速に事案終了と判断したことが先入観となり、対応の遅れにつながったと指摘した。別の幹部は「復縁や交際解消が繰り返されたのに、誰も次のトラブルもあり得ると予想できなかったのか」と嘆く。

 希薄な危機意識は、12月20日に岡崎さんと連絡が取れなくなった後も改善されなかった。岡崎さんの祖母宅の窓ガラスが割られたとの通報に対応した署員は、鑑識活動すらせず、勝手に事件性が低いと判断する「基本を欠いた捜査(報告書)」に終始。家族が失踪を届け出ても当初は生命・身体の危険の恐れがある「特異行方不明者」とはせず、提供された情報の不自然な点も見逃して積極的に対応しなかった。

 署の支援や指導をすべき県警本部も機能不全だった。人身安全対策課の関与は不十分で、同課の確認なく署長の判断のみで事案を終結できる不適切な運用が常態化。捜査1課も行方不明情報を一定程度把握しながら、当事者意識を欠き、動かなかった。岡崎さんの家族は業を煮やし、県警広報県民課や隣の警視庁にまで苦情を伝えたが、その処理も不適切で、県警本部長への報告すらなかった。

 公表に合わせた記者会見で、和田薫県警本部長は「対処体制が形骸化し、本来発揮すべき機能が発揮できないという組織的、構造的な問題点があった」とミスを認め謝罪。「責任を痛感している」と述べ、深々と頭を下げた。 

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  • こんな事をやってるなら、神奈川県警の給料なんて10万くらいでいいんじゃない?
    • イイネ!3
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