記者会見で、アベノマスク契約交渉過程の開示文書を見せる上脇博之教授=29日午後、大阪市 新型コロナウイルス対策で配布された布マスク「アベノマスク」の購入契約に関する文書を巡り、厚生労働省と文部科学省は29日までに、情報公開を求めた神戸学院大の上脇博之教授らに対し、業者とのメールのやりとりなどを記した文書約700ページを開示した。ただ、値段交渉の経緯を記した文書はなく、上脇教授らは「不十分だ」と批判した。
同日、大阪市内で記者会見した上脇教授は、開示文書の中に、経産省の職員が担ったとされる具体的な値段交渉の経緯を記したものがないと指摘。「不十分。あると思われる文書が公開されていない」と批判し、業者との応接録などの関連文書の再探索を国に求めたと明らかにした。
アベノマスク契約に関する文書を巡っては、「不存在」を理由に不開示とした国の決定は違法だとして、取り消した大阪地裁判決が6月に確定した。上脇教授は「作成していない」と国が主張した保存期間1年未満のものを含め、文書の探索・開示を求めていた。