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「被告のみに責任があったとはいえない」。福岡県柳川市のハリウッドワールド美容専門学校で2023年5月、バーベキューの火が服に燃え移り学生4人が死傷した事故で、2日の福岡地裁判決は元教員助手の被告を有罪としつつ、火おこし時のアルコール使用を発案した当時の理事長の指示に誰も疑問を差し挟めなかった状況があったと言及。学校の環境が悲劇を招いたと指摘した。
判決によると、被告はハリウッドワールド美容専門学校の通信制で学びつつ、教員助手として勤務。理事長の指示に疑問を差し挟めない環境に置かれていた。事故の数日前には遅刻を理由に理事長から叱責され、退職届を書かされるなど行き過ぎた指導も受けていた。
理事長はバーベキュー大会の際、火おこしに限定はしていたものの、アルコールを使うことを発案。実際に着火前後にアルコールを使用し、制止する教員は誰もいない状況だった。
被告は公判で、当時は校長からコンロの火が弱いと指摘を受け、焦りがあったと説明。「理事長先生に怒られるのが怖かった」とも述べていた。
事故後に設置された第三者委員会が2024年7月に公表した調査報告書は、アルコールの使用について多数の職員らが危険性を感じていたのに、理事長を制止できない状況だったと問題視していた。
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判決は「被告の刑事責任は軽視できないが、当時は冷静な判断をすることが難しい状況に陥っていたことは否めない」と言及。理事長をはじめとする当時の学校の体質を批判した。
判決を受け、同校の古賀郁(ふみ)学園長は「特にコメントすることはない」としている。【森永亨】
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