「自由の象徴だった橋」で一体なにが?  記者が乗るバスで“突然の入国審査” EU加盟国で復活する国境検問所の実態

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2025年10月03日 19:45  TBS NEWS DIG

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ヨーロッパでは、40年ほど前から始まった「シェンゲン協定」で、加盟国の市民が入国審査なしで自由に国境を行き来してきました。しかし、最近はその様子が様変わりしています。原因は「移民対策」です。

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ドイツとポーランドの国境をつなぐ「オーデル橋」。私たちはこの日、路線バスに乗りドイツ側からポーランドへ入国しました。

記者
「いまドイツからポーランドに入国しました」

国境には警察官の姿が。乗客の顔を1人ずつ確認し…。

記者
「いまドアが開きました。警察官が中へと入ってきました」

ポーランドの国境警察
「パスポート検査だ。ナゼかって?移民だ、移民。入国に必要な書類を持っていない人がたくさんいる」

移民かどうか確認するために、突然、入国審査が行われました。

2015年の難民危機以降、中東や北アフリカ、ウクライナなどから紛争や内戦などを逃れ、ヨーロッパに入国してくる難民が増加。2022年にEUに流入した移民は530万人以上にのぼっています。

この事態を受けて、ヨーロッパでは右派ポピュリストや極右政党への支持が高まり、移民排除の動きが加速しています。

今年5月以降、ドイツでは移民政策が厳格化し、検問所を拡大しました。これにポーランドも対抗するように、およそ20年ぶりに検問所を復活させました。

ドイツ側の国境で止められた人
「私たちが難民に見えたのでしょう。週に2回も止められることがあって、ただ時間を無駄にしてる感じです」

この地域では、ドイツ側だけで、今年1月から8月末までに不法移民として3000人以上の入国を拒否しています。

一方、ポーランドの国境の街には大きな影響を与えていました。

ドイツ側から青果店に訪れた人
「インゲンはここでは3ユーロだけど、ドイツでは5ユーロ。キュウリも2.5ユーロで、ドイツの半額です」

ポーランドは物価が非常に安く、多くのドイツ人買い物客が国境を渡ってやってきていましたが、検問所ができると激減したといいます。

美容室の経営者
「客の90%がドイツから来る人です。(国境付近で)店をやっている人はみんな、以前より30%から40%売り上げが落ちています」

一方、ドイツ側では、検問がEU全体に影響を及ぼす可能性があると指摘する声があがっています。

ドイツ・フランクフルトオーデル市観光局 トマーシュ・ピラルスキーさん
「毎日、約860億円もの物品がドイツとポーランドの国境を越えて輸送されている。国境検問による車の渋滞は、サプライチェーンを脅かす不安要素になる」

国境の検問所はイタリアやオーストリアなどでも一部で復活していて、「移動の自由」を掲げるEUが失われつつあります。

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このニュースに関するつぶやき

  • 「移動の自由」を掲げるEUが失われつつ」英国が逃げた時点で実質崩壊しているものを無理矢理維持している印象。国情の違いすぎる加盟国を増やしすぎたと個人的には思う。
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