
円相場は8日、一時1ドル=153円台目前まで値下がりしました。急速に進む円安のきっかけは自民党の高市新総裁の誕生ですが、その高市氏が掲げる物価高対策が、かえって物価高を招いているとの指摘も出ています。
高市総裁が“靖国参拝”見送りへ 理由となった2つの背景8日午後、野党各党への挨拶回りを行った自民党の高市総裁。和やかなムードの中、立憲民主党の野田代表は、高市氏から新しい執行部のメンバーについて“自虐的な紹介”を受けたといいます。
立憲民主党 野田佳彦 代表
「『傷モノが1人』という表現で(幹事長代行の)萩生田さんを紹介されていた。(印象を)気にされているということは、痛いところなのかと思った」
10月中旬以降に行われる見通しの総理指名選挙。それを前に、高市氏がこだわり続けるある心情に変化の兆しが…
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高市総裁(8月15日)
「たくさんの方が国策に殉じられました。尊崇の念をもって、哀悼の誠を捧げてまいりました」
終戦の日や、例大祭の際に行ってきた靖国参拝。
2024年の総裁選の際のインタビューでは…
高市総裁(2024年9月)
「閣僚である間もずっと(参拝を)続けてまいりました。これは私にとって大切なこと。これからも続けていきたい」
総理大臣になっても参拝を続けると明言。しかし、総裁就任後の記者会見では…
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高市総裁(4日)
「適時適切に判断をさせていただく」
こう述べるにとどまりましたが、高市周辺によりますと、17日から始まる秋の例大祭への参拝を見送る方向で調整に入りました。
背景にあるのは2つ。一つは、連立協議を行っている公明党が靖国参拝への強い懸念を表明したこと。もう一つは、外交日程です。
高市氏が総理に選出された場合、来日するアメリカのトランプ大統領との首脳会談に臨む予定である他、月末には、韓国でAPEC=アジア太平洋経済協力会議が開催。そうした外交への影響を避ける必要に迫られたものとみられています。
物価高対策が更なる物価高に? “高市トレード”で円安進むその高市新総裁の誕生から4日。「高市トレード」と呼ばれる動きが私達の暮らしを直撃しようとしています。
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東京・六本木にあるステーキ店。ここの一番人気は「熟成牛タンのステーキ」です。
炭焼き肉とワイン旬熟成 金井正志 店長
「仕入れで1キロで4500円です。値段はだいぶ上がっています」
オーストラリア産を使用していますが、仕入れ値は5年前の2倍になっているといいます。
要因は円安です。
炭焼き肉とワイン旬熟成 金井正志 店長
「収束はしてほしい、円安は。これ以上、円安が進めば進むほど、もう我々の首が締まるだけなので」
8日、円相場は一時153円台目前まで値下がりしました。要因の一つが、高市氏が掲げる物価高対策です。
積極的な財政出動を行うとの見方から、財政悪化への警戒感が拡大。円を売ってドルを買う動きが強まり、総裁選前からは5円ほど円安に進行しました。
専門家は、円安が更なる物価高を招くと指摘します。
外為どっとコム総研 神田卓也 シニア為替アナリスト
「円安が進むと、輸入するものの値段が上がる。我々消費者のところに届くとき、物の値段が上がる。インフレになる」
目先は、1ドル=155円まで円安が意識されているといいます。
外為どっとコム総研 神田卓也 シニア為替アナリスト
「円安を抑えようとすると、物価高対策が形だけになりかねない。本当に非常に難しい状況」
物価高対策が、更なる物価高に。高市総裁は、難しい政策判断を迫られることになりそうです。