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帝国データバンクが「学習塾経営事業者」の倒産動向について調査を行ったところ、2025年1〜9月に発生した倒産は37件(負債1000万円以上、法的整理)となり、同期間としては過去最多となった。少子化などを背景に、競争が激化する都市部の中小業者の倒産増加が顕著である。
このペースで推移すれば、通年では50件前後に達する見込みで、過去最多だった2024年(40件)を大幅に更新する可能性が高いという。
負債規模別にみると、「1億円未満」の小規模倒産が35件と大半を占めた。1億円を超えたのは、予備校のフランチャイズ事業を展開していたCS管理会社(兵庫県姫路市)の約7億円と、大学受験予備校「ニチガク」を運営していた日本学力振興会(東京都新宿区)の約1億7100万円の計2件である。
倒産件数は都市部で急増しており、最多は「東京都」で10件、「大阪府」が7件と続いた。主な学習塾の利用層である6〜18歳の人口は、コロナ禍直前の2019年(約1405万人)から2024年(約1336万人)までの5年間で約5%減少(総務省「人口推計」)しており、都市部では少子化に伴う生徒の争奪戦が激化している。
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さらに、コロナ禍以降に定着したオンライン授業事業者や学習アプリの台頭も、倒産急増の一因となっている。業界団体の役員は「業歴の長い学習塾でも、生徒獲得のためオンライン授業などのデジタル設備投資が不可欠になったが、その結果として借入金が膨らむケースがある」と指摘する。
地方では「地域に根差した基盤を背景に、身の丈経営で業容を維持する道もあるが、大手が集中する都市圏では資本体力が乏しく、収益確保が難しい事業者を中心に倒産は今後も増え続ける見通しだ」と帝国データバンクは分析している。
なお、今回の調査は負債1000万円以上の法的整理による倒産を対象に実施。集計期間は2000年1月1日〜2025年9月30日。
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