「犬笛型ヘイトスピーチ」考える集会 市議の投稿巡る訴訟の判決控え

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2025年10月13日 08:16  毎日新聞

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裁判支援集会で、自身の思いなどを語る李香代さん(中央)=大阪市中央区で2025年10月4日、鵜塚健撮影

 SNS(交流サイト)上に不当に顔写真や親族の情報などをさらす行為は「差別扇動」に当たるのではないか――。大阪府内在住の在日コリアンの女性が添田詩織・泉南市議からヘイトスピーチを受けたとして損害賠償を求めた訴訟が、大阪地裁で審理されている。24日の判決を前に原告側の支援集会があり、参加者が「犬笛型ヘイトスピーチ」の問題点について考えた。


 原告は在日コリアン3世の会社役員、李香代(イ・ヒャンデ)さん(59)で、泉南市の事業を請け負うイベント会社の役員を務めている。


 訴状によると、李さんが朝鮮学校の保護者会の元役員であることや、李さんのいとこが捏造(ねつぞう)されたスパイ事件によって韓国で死刑判決(後に再審無罪が確定)を受けたことについて、添田市議がSNS上に書き込み、顔写真も掲載した。李さん側は、親族に犯罪者がいるかのような投稿によって名誉を毀損(きそん)されたと主張。背景には「在日コリアンに対する根強い差別意識がある」としている。


 裁判で問われているのは、影響力を持つ公人の書き込みが差別を煽っているのではないかという点だ。直接相手を差別する言葉は使わずに、暗示的な言葉によって自身の支持者らによる差別をあおる手法で、犬笛にもたとえられる。実際に、添田市議の投稿に反応する形で、SNS上には李さんに対する差別的書き込みが多数流れている。


 添田市議は今年7月の本人尋問で、一連の投稿について「公金が流れている企業の財務責任者がこの方だと市民に提示するためだった」「ネット上の情報を貼り付けただけで、個人的な見解は述べていない」などとし、差別的な意図がないことを強調した。


 支援集会で李さんは「添田市議の弁論での言葉は、在日コリアンへの差別を正当化し、人権を軽んじる侮辱的発言だ」と話した。さらに「『日本人ファースト』という言葉を通じ、排外主義をあおる風潮がある。今回の裁判はそうした風潮への問いかけでもある」と語った。


 また、ヘイトスピーチに詳しい金尚均(キム・サンギュン)・龍谷大教授が裁判の意義などを解説した。添田市議の投稿について「犯罪者、朝鮮学校という要素をSNS上で提示し、『この人は敵であり、社会から排除していい存在だ』というイメージを作り、差別をあおるものだ」と指摘。「ヘイトスピーチは民主主義を瓦解(がかい)させるもので、表現の自由として許されるものではない」と話した。


 さらに金教授は「SNS上の投稿を消すことは困難であり、李さんの『平穏に生活する権利』は今も侵害され続けている」とした。「李さんは、攻撃しやすい在日コリアンかつ女性だから攻撃された。交差差別(複合差別)に当たるという視点も必要だ」と語った。【鵜塚健】



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  • 日本社会で北朝鮮崇拝を押し売りし、日本国民の金をたかって「民族教育」を強要する朝鮮総連こそ“レイシスト”だ。日本人には国際化を要求し、民族主義を振り回す在日の身勝手さが嫌われる。
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