日本維新の会安全保障調査会の会合で発言する前原誠司会長=4日午後、国会内 政府・与党は、防衛装備品の輸出を救難や輸送など「5類型」に限るルールについて、来春にも撤廃する方向で調整に入った。複数の関係者が4日明かした。同盟国・同志国との安全保障協力の拡大や国内防衛産業の強化につなげたい考え。実現すれば殺傷性の高い装備品の輸出も可能となるため、審査の厳格化など歯止め策が焦点となりそうだ。
5類型は、2014年に決定された防衛装備移転3原則の運用指針で定められている。完成品として輸出できる品目を「救難、輸送、警戒、監視、掃海」に限定。これまで輸出した防衛装備品は、フィリピンへの警戒管制レーダー1件のみだ。政府内では、指針の5類型の記述を削除した上で、代わりに「完成品全般」と明記する案が取り沙汰されている。
指針の改正は国家安全保障会議(NSC)が決定し、閣議決定や国会での採決は不要。規制が撤廃されれば、護衛艦やミサイルなど殺傷性の高いものを含め幅広い装備品の輸出に道が開かれ、国内防衛産業の基盤強化が期待できる。一方で、外国の紛争を助長する恐れもあり、日本が掲げてきた「平和国家」との整合性を問う声も出ている。
日本維新の会は4日、国会内で党安保調査会の会合を開き、撤廃に向けた論点を整理した。年内にも党としての考えをまとめる。前原誠司会長は記者団に「(5類型は)抑止力向上の阻害要因になっており、防衛産業に極めてネガティブな影響を与えている」と指摘した。
歯止め策を巡っては、輸出の際に閣議決定を義務付ける案などが浮上している。ただ、安保政策で「ブレーキ役」を自任してきた公明党が連立を離脱したため、自民国防族は「維新はターボエンジンになりかねない」として、慎重な議論が必要との認識を示した。

三菱電機がフィリピン空軍に納入した固定式警戒管制レーダー「FPS3」(防衛装備庁提供)