高市首相「いいから黙って全部オレに投資しろ!」 安倍元首相の「バイ・マイ・アベノミクス」を彷彿とさせる発言が話題に

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2025年12月11日 09:30  日刊SPA!

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写真/産経新聞社
 12月1日、「現代用語の基礎知識選 2025T&D保険グループ新語・流行語大賞」で高市氏の「働いて働いて〜」が年間大賞に選出され、本人が登壇して「長時間労働を美徳とする意図はない」とスピーチ。同じ日にはサウジアラビアの投資家向けに漫画のセリフを引用して「日本に投資せよ」と呼びかけた。
ジャーナリストの岩田明子氏は「支持を集める“高市節”の奔放さがそのまま外交や政局を動かす力にもなり得るだけに、今後どんな言葉が発せられるのかが日本の行方を左右しかねない」と指摘する。
(以下、岩田氏の寄稿)。

◆高市語録 流行語大賞に

 “高市語録”が話題だ。12月1日には自民党総裁選後に発した「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」が流行語大賞に選ばれ、サウジアラビアの投資ファンドのイベントで「いいから黙って全部オレに投資しろ!」とスピーチしたことも話題を呼んだ。

 後者は漫画『進撃の巨人』の有名なセリフだが、安倍元首相が’13年にNY証券取引所で発した「バイ・マイ・アベノミクス」を連想した人も多いだろう。日本のソフトパワーに対する海外人気の高さを意識しながら安倍路線継承をアピールした、高市氏らしい言い回しだったと感じる。

 石破茂前首相も「楽しい日本」という国家像を示したセリフが話題になったが、好意的に受け止められたとは言い難い。高市氏の言葉は高い支持を得ているという点で、安倍元首相や、「自民党をぶっ壊す」「人生いろいろ、会社もいろいろ」などの記憶に残るフレーズをたびたび発した小泉純一郎元首相に通ずる。

 一方で、歴代首相と異なる面もある。高市氏は国会答弁などで、自身が関節リウマチに悩んでいることや、下着などをネット通販で買うことをあけすけに話す。トランプ大統領とのやり取りについても、明かしても問題のないギリギリの線を攻めるかのように披露する。こうした“高市節”がしばしば人を惹きつける。

◆年末解散に絡む発言にも要注目

 とはいえ、首相の発言は重い。台湾有事に関する答弁が典型例だ。歴代首相が有事の際の日本の対応について「個別具体的な状況に即し、情報を総合して判断する」という姿勢を貫くなか、高市氏は一歩踏み込んで「中国による武力の行使を伴うものであれば存立危機事態になりうる」と話した。この発言に猛反発した中国側は自国民に日本への渡航自粛を呼びかけ、日本からの水産物の輸入を停止。日中関係は急速に冷え込んだ。

 高市首相に発言を撤回する選択肢がない以上、日中対立は当面続くだろう。なにしろ、’27年は習近平国家主席にとって3期目最後の年であり、人民解放軍創設100年の節目でもある。台湾統一に向けた成果を挙げれば、4期目入りへの強力な後押しとなるだけに、今は中国側も矛を収められない状況にあるのだ。少なくとも来年4月のトランプ訪中まで事態の進展はないと見る。米中の経済関係にも波及する問題であるからだ。

 日中冬の時代が訪れるなか、新たな高市発言の可能性にも注目が集まり始めている。衆院政治改革特別委員会の委員長を務める立憲民主が、議員定数削減法案を採決させない姿勢を見せており、にわかに“解散風”が吹き始めたからだ。そのとき、どんな高市節が飛び出すのか要注目だ。

<文/岩田明子>

【岩田明子】
いわたあきこ●ジャーナリスト 1996年にNHKに入局し、’00年に報道局政治部へ。20年にわたって安倍晋三元首相を取材し、「安倍氏を最も知る記者」として知られることに。’23年にフリーに転身後、『安倍晋三実録』(文藝春秋)を上梓。現在は母親の介護にも奮闘中

このニュースに関するつぶやき

  • 高市さんの国会での発言だけで過剰に 反応して大騒ぎしてる中共の器の小ささよって話でしかないじゃん?
    • イイネ!9
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