
物価高の中、その対策を目玉とする補正予算案が衆議院を通過しました。その一方で、ここ最近、海外メディアでしばしば目にする「日本売り」という言葉。背景には一体何があるのでしょうか。
高市総理「進撃の巨人」のセリフで海外にアピール1日、海外の投資家らが集まるイベントに出席した高市総理。人気漫画「進撃の巨人」のセリフにちなんだ発言が話題となりました。
高市早苗 総理大臣(1日)
「“Just shut your mouths! And invest everything in me."(いいから黙って、全部オレに投資しろ)。皆さん、もうお願いしたいことはお分かりだと思います。Japan is back. Invest in Japan(日本は復活した、日本に投資を)」
日本への投資を呼びかけた高市総理。威勢の良い発言の裏には、何があるのでしょうか。
|
|
|
|
8日に審議入りした、政府の経済対策の裏付けとなる補正予算案。子どもへの2万円給付などの物価高対策に8.9兆円、さらにAIや半導体などの成長投資に6.4兆円など、総額で18.3兆円。そのうち11兆円以上が国債、つまり国の借金でまかなわれます。
こうした巨額の補正予算に対し、野党からは...
立憲民主党 本庄知史 政調会長(9日 衆・予算委)
「責任ある積極財政を掲げていますが、財源の6割以上が借金。これで責任あるというふうに言えるのか」
これに対し、高市総理は...
高市早苗 総理大臣
「補正予算後の当初予算と、補正予算を合わせた補正後の国債発行額については、昨年度を下回っていますので、財政の持続可能性にも配慮した姿となっている」
|
|
|
|
結局、予算案は国民民主党と公明党の提案を盛り込んだことで、両党も賛成にまわり、11日、衆議院を通過しました。
止まらぬ物価上昇 金利も急騰で「住宅ローン」に不安今回の予算案で目玉となった「物価高対策」。依然、深刻な物価高は続いています。水曜日、そんな現状を示す興味深い調査結果が発表されました。
カレーライス1食をつくるのに必要な食材や水道光熱費から算出する、「カレーライス物価指数」。1食あたりの費用が451円と、10年で2倍近くに。背景にあるのが、コメや野菜に加え、輸入牛肉などの価格上昇でした。
こうした物価に加え、ここ最近、急騰しているのが「金利」です。財政への不安が広がると、国債が売られるため、金利は上がります。実際、長期金利の代表的指標である10年物国債の利回りは1.9%台まで上昇。約18年半ぶりの水準となったのです。
金利上昇で大きく影響を受けるものといえば、住宅ローン。
マイホーム購入を検討しているある夫婦は、40年の住宅ローンを変動金利で組むことにしました。
|
|
|
|
購入検討の夫婦
「子どもが生まれ、物価も上昇している。今のタイミングがいちばん安いんじゃないかと。予算はどれくらいだろう?5000万円ぐらい」
しかし、今後、金利が上がれば、ローン返済が家計を圧迫しかねないとの不安を抱えています。
11月、海外メディアは、日本の財政不安を理由に、相次いで「日本売り」の見出しを掲げました。この現状に、歯止めをかける手立てはあるのでしょうか
日銀・植田総裁は「利上げ」の可能性を示唆海外メディアが相次いで掲げた「日本売り」。円を売って、ドルを買う動きが加速、「円安」が続いています。こうした中、日銀の植田総裁は、12月にも利上げを行う可能性を示唆。
日本銀行 植田和男 総裁(1日)
「利上げの是非について適切に判断したい」
11月には、急速な円安を受け、片山財務大臣も「為替介入も当然考えられる」と市場を強くけん制。その一方で10日、アメリカでは景気を下支えしようと、中央銀行にあたるFRBが政策金利の引き下げを決定しました。
日米の金利差が縮小すると、相対的に円の価値が高まり、「円高」に向かうとの期待がありましたが、結局、効果はほとんど見られず。その理由を専門家は...
慶応義塾大学経済学部 土居丈朗 教授
「日銀は利上げをするとしても、いかんせん高市内閣が許してくれる範囲でしか利上げが認められないと足もとを見られている。高市政権が財政だけでなく、金融政策も拡張的にするという姿勢を持っているのではないかとみんな思っている」
円や国債など、厳しい「日本売り」が続く中、先日、高市総理自ら威勢良く呼びかけた日本への投資については...
慶応義塾大学経済学部 土居丈朗 教授
「経済成長は大事だし、経済成長のために役立つような財政政策もあると思うけど、日本売りは、その財政政策が将来の日本の経済成長を確実に高めるものだという手応えをみんな持っているわけではないことを意味している。総理大臣の言葉で呼びかけないと、日本に投資してもらえないという状況に追い込まれている」
「日本売り」をはばもうと、高市総理が訴えた「日本買い」。効果はどこまであるのでしょうか。
