来年1〜2月に南鳥島沖の深海底でレアアース(希土類)を多く含む堆積物を試験採取する計画を発表する海洋研究開発機構の担当者=23日午後、東京都港区 海洋研究開発機構などは23日、探査船「ちきゅう」で来年1月中旬から2月前半にかけ、南鳥島(東京都小笠原村)沖の深海底を掘削し、レアアース(希土類)を多く含む粘土状の堆積物を試験採取すると発表した。水深は約6000メートルあり、世界初の試みという。
この堆積物は「レアアース泥」と呼ばれ、モーターや発電機の高性能磁石に使われるネオジム、ジスプロシウムなどを多く含む。試験採取は内閣府の海洋安全保障関連事業として行われ、順調に運べば2027年2月に採鉱試験を行って採算性を検討する方針。
ちきゅうから長いパイプを海底まで伸ばし、「採鉱機」と呼ばれる筒状装置と接続。内部で水を循環させ、ドリルで掘った堆積物を船上に回収する。この仕組みは堆積物を海中に拡散させないためで、周辺の生態系に影響がないか、環境モニタリングも行う。
レアアース泥は薄い地層として分布しており、石炭のように深く掘り進められない。将来商業ベースで採掘する際は、次々に場所を変えて掘る方式が考えられる。