『半うつ 憂鬱以上、うつ未満』平 光源 サンマーク出版 以前に比べると、理解が広まったように感じられる「うつ病」。しかし、うつ病の人が最初に受診する医療機関については、64.7%が「内科」であり、最初からうつを疑って精神科を受診する人は全体の6%にとどまるとするデータがあるとされています。それほど、うつ病は本人や家族、場合によっては医師であっても、早期に気づくことが難しい疾患であることがうかがえます。
そこで、精神科医として25年間、のべ20万人の患者を診てきた平 光源さんが著したのが『半うつ 憂鬱以上、うつ未満』という書籍です。
「『うつ』とまでは言い切れない。だから、仕事に行けるし、家事もできる。だけど、確かに憂鬱を超えた不快感がある。病院に行くほどではないけれど、このままじゃ怖い。こういった憂鬱以上、うつ未満の状態こそが『半うつ』の定義であり、そんな"中間地点"に入る人に、この本を手に取っていただきたい」(本書より)
平さんによると、少なくとも現代人の5人に1人が「半うつ」の状態にあると言えるのではないかといいます。
半うつの状態であれば、必ずしも専門医による長期間の治療を必要とせず、比較的改善しやすいケースが多いとされています。うつ病の回復過程については、
1、土台作り
2、セロトニンを整える(心の安全装置)
3、ノルアドレナリンを整える(やる気の素)
4、ドーパミンを整える(ワクワクの素)
というステップで回復していくものですが、半うつも同様に段階を踏むことで回復が期待できると平さんは説明しています。
本書では、質の良い睡眠や食事の工夫、気分転換と休息の取り方、完ぺきを目指さない思考法など、日常生活で実践できる方法が具体的に紹介されています。
全体を通して、読者に寄り添った姿勢で書かれている本書。それは、医師である平さん自身が同じように半うつ状態を経験したことがあるからに他なりません。
「医者にならなくちゃ」というプレッシャーの中で3浪したとき、自身が担当したことがある患者の訃報を知ったときなど、うつ病の診断基準には当てはまらなかったものの、平さんの心は明らかに正常ではなかったといいます。
「もしあの時、『半うつ』という言葉があったなら、私は堂々と友人や同僚に相談できたでしょう」(本書より)と振り返り、「だからこそ、一般の方々が『これは病気じゃないから我慢しなければ』と思ってしまうのは、当然のこと」(本書より)と理解を示します。
平さんによると、「本格的なうつ病になってから治療するより、半うつの段階で適切にケアする方が、何百倍も簡単で、何千倍も多くの人を元気な状態に導くことができます」(本書より)とのこと。本書を通じて「半うつ」という考え方が広まり、少しでも自分自身や身近な人の変化に気づける社会になることを期待したいところです。
[文・鷺ノ宮やよい]
『半うつ 憂鬱以上、うつ未満』
著者:平 光源
出版社:サンマーク出版
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