平野歩夢「生きるか死ぬか」大舞台のウラに“決死の覚悟”、次の4年は「さらに命がけ」ミラノ五輪終え感じた心境の変化

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2026年03月01日 12:03  TBS NEWS DIG

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ミラノ・コルティナオリンピック™で大けがを負いながらもスノーボード・ハーフパイプで7位入賞をした平野歩夢(27、TOKIOインカラミ)が、4大会連続となった大舞台を振り返り、ケガを負ったときの心境や裏側を明かした。

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連覇がかかった大会開幕の20日前。スイスで行われたW杯第5戦に出場した平野は、新しく取り入れたトリックで転倒。複数箇所を骨折する大けがを負い、五輪出場すら危ぶまれる状況に。それでも"命”をかけて挑み、予選と決勝の合計5本のランを全て滑りきった平野。王者として挑んだ五輪を終え、これまでとは違う自身の心境の変化があったという。

Q.お父さんもお母さんも英樹さん(兄)も海祝さん(弟)も現場に来てましたけど、みんな心配もしてたと思うんですけど、同時に喜びもしてましたか?

平野歩夢選手:無事に何もなく終わってくれっていう気持ちで見てたんじゃないかなって何となく想像すると、まず結果よりも無事に終わって、ホッと一安心したようなところはあるんじゃないかなと思ってます。

Q.スイスに一緒に行っていた海祝さん(平野歩夢と共に前回大会の北京五輪に出場、再び兄弟揃ってミラノ代表も目指していた)に、試合前にインタビューをしたら「スタートに立ってるだけでも奇跡だ」って言ってました。

平野:海祝は、僕が病院に行った後とかも結構頻繁に連絡くれてて。同じ競技者として気持ちを想像できるところはあったと思うんで、家族の中でも一番気持ちをわかって、想像できてた立場なのかなっていうのはあったと思う。結構俺が感じている気持ちに近いことを多分一番理解してくれてたのかなっていうのは思いますね。

Q.スイスでケガをして、医務室横で検査をしてる様子が、ちらっと実は見えてた。これはやばいと思ってたんですけど・・・

平野:結構痛みに強い方なので、滑って何とか下まで降りたりできるかなとか思ってたんですけど、結構人に見せたくないぐらいしっかり負傷しちゃってたんで。松葉杖だし、空港でも車椅子で、人に見られたくない気持ちもあったし、自分の整理も追いついてないし、なんにしても時間もないし。本当にいろいろ最悪な展開すぎて、久々に焦りましたよね。

「目の前で起きること全てがフラッシュバックとかトラウマを抱えてしまいそうだった」

Q.実際骨折の診断が出ての心境ってどんな感じでした?

平野:ケガすること自体は初めての経験でもないんで、そうだよなっていう。骨折してるときの症状も何となく身体のフィーリング的に、折れてるか折れてないかとかの感覚がずいぶんわかってくるようなところもあって。何もなかったら奇跡だけど、この状況で荷物も持てなくて、歩けなくてトイレもいっぱいいっぱいでってなって、俺の想像してる通りの、診断結果だったので、「まじか」っていう気持ちともう笑うしかないようなところもあって(笑)ここで何かさらに試練を与えられたなみたいな。でも自分の気持ち的にも、「ケガで終わりました」は嫌だったので、最初は乗り越えるのが本当にしんどかったんですけど。鼻も骨折してて呼吸ができなかったり、そういう生活だったのでもう頭おかしくなりそうだった。鼻の骨折が意外と一番痛くて、気づいたらめちゃくちゃ涙が溢れ出てくるぐらい。すぐオリンピックも控えてたので、本当に目の前で起きることが全てフラッシュバックとかトラウマを抱えてしまいそうだった。股関節もだし、膝ももうありえないぐらい腫れてて、一気に3か所だったんで、普通じゃいられなくて。数日間で2週間ぐらい経過してるんじゃないかっていう気持ちで本当につらかったです。

Q.よく戻ろうと思いましたね、本当に。

平野:でも結構気持ちはポジティブに持っていないとなっていうのはあったので。トイレに行くのもしんどいのに、ケガしてないって思わなきゃみたいな。正反対の気持ちを浮かべてキープしていかなきゃみたいなのは・・・この期間でそれだけの怪我が、過去にないことだったんで、ポジティブに言うとこれをいい経験として自分のストーリーとしてもいい方向にドラマを作り出したなみたいな。ここまで来たらもう面白くなってきたなとか、そういう方向にでも持ってかないと、ポジティブな気持ちはなくなってしまうので、そこは結構自分の中で振り絞りましたね。

Q.昔からよくケガしたときこそ、スノーボードを考える時間をもらえてるみたいな前向きな捉え方をしてましたけど、今回はそれどころじゃないところもあるのかなとか思ったけど、どうでした?

平野:いや結構前向きだったと思いますよ。気持ちを落とすことだけは絶対にしないようにと思ってたので。本来だったらスノーボードのことで頭いっぱいになってたり、身体の疲労と闘ってたりして、客観視ができない状態になっていたと思うので、客観的に今の自分の状況とか周りの状況とかを見られてる時間をもうプラスに捉えるしかなかった。あとはもうこういうタイミングでこういうことって気を付けてても起きるんだなとか、今までの人生の中でもなかなかこんなことないよなってぐらい過酷なタイミングだったんで、人生に結びつけるしかないなというか。スノーボードどうこうというよりも、自分の人生にとってこれを良い経験にしていくことしかプラスに捉えることはできないなと思ってた。人として生きてる上で、何が大事なことなのかとか、周りの力がなかったらやっぱりそこまで上がってこれなかったと思うんで。普通の人が経験できないことを経験させてもらってるなっていう感覚で自分を維持してたところは、今後の人生を踏まえても、一つの大きな経験だったのかなって。

「久々に予選がドキドキしましたね(笑)」

Q.それで出たオリンピックで見事決勝に進出して。でも決勝の前の公開練習では、結構こけてましたよね。

平野:あんなに調子悪いのは、もう本当に過去イチですね。パイプもすごい自分に合ってなくて。これだけいろんな場所で滑ってきて、そういう不安要素も大きくて、なんかもうどうしようもないなこれみたいな。合わせていくことしかできないけど、そんな中でやったことないこともやらなきゃいけないし、みんなすごい気合入って練習の段階できわまってきてる状態だったので、そっちは見ないで自分の今できることを一つずつ。そういう意味では久々に予選がドキドキしましたね(笑)予選を乗り越えた後はもう気持ちにあんまり負担かけずにこれまでの期間を信じて、あとはもうシンプルにやれることをやるだけだなと思ってたんですけど、そのやれることっていうのが、結構異次元な段階でやんなきゃいけなかったので(笑)シンプルにやるだけとはいえ、チャレンジ精神はすごい必要だったので結構身を削った。それで、悔いなく最後やり切れればとは思ったんで、攻めた結果、納得いく評価と滑りはできなかったですけど、自分のこういう困難な状況の中で、100%のチャレンジはできたかなとは思ってますね。

Q.1620(4回転半)うってくるって思わなかったですし、しかも2本目とか立ってるし。あれはやっぱ周りのプッシュというかそういうのも相当強かったですか?

平野:もうあの3本だけ本気で乗り越えることしか考えてなかったんで。本当はそういう意味で1本目にしっかり決めて、2本目、3本目って段階を上げて、最後は今回ちょっとできなかったことを見せたかったんですけど・・・こういう状況の中ではかなり上出来かなとは思うんですけど(笑)できなかったとはいえやってきたことは無駄にはならないと思って、そこはプラスに捉えてまた進化させていこうかなとは思ってますね。

Q.北京オリンピックで王者になって、今回のオリンピックに向けていく中で、自分の中でこういうような次のチャレンジをしたいっていう考え方で4年間過ごしてきました?

平野:この4年間で自分が王者っていう感覚とか、ディフェンディングチャンピオンみたいなのは、意識してでも取り外して挑みたいとは思ってたので。練習の段階からそういう気持ちにはならないように。過去にメダルを取ってない人かのような気持ちで、普段生活したりとか、4年間を刻んでいくかってことは、すごい意識的に大事にしていて。それが一番オリンピックがピークになってきたときにプレッシャーを感じないで、誰かに勝ちたいとか、そういう子どものときの自分のように見られる状況を作っていたいとは思っていたので、それと葛藤してたことはありましたね。とはいえ身体も思考も子どもではないんで、何とか子どものように仕向ける努力だったりとか、そういうものは結構苦労した点だったりするのかなとは。でも、やっぱり4年刻みなんで身体とか経験が自分を邪魔してくるので、そこが難しいですよね。ごまかしきれない部分ではありますし、そういった意味での負荷はすごいかけてきたかなと思いますね。

Q.この4年間を一言で言うならば、何が出てきますか?

平野:結局やっぱり挑戦。スケボーで出た2021年東京五輪のときもそうだったんですけど、挑戦していくことで、変わり続けていくことが自分に合ってるなと思いました。身体がどうしても時が経って、それなりに言うこと聞かなくなる部分も含めて、重りは出てくる。そういう部分はごまかせなかったりするなとも思いましたし、その分それをどういうふうに生かしていくかとか、どうそれを楽しむかっていうことをすごい感じさせられた4年間でもあったんですけど、本当に最後の最後はまさかでしたね。ギリギリすぎてさすがにちょっと焦るってことを覚えました(笑)不安っていうこともしっかり実感できた時間だったので、また人生にいろんな感情を刻めたなとは思いますけど、でもなんか最終的にはやっぱ挑戦でしたね。あと、もう一つ挙げるなら命。そういうものにも助けられたところは大きかったなと思っていて、いろんな困難を踏まえて、命も加わったみたいな、そんなテーマなのかなとは今考えたときに出てきましたね。

Q.平野歩夢の普遍のテーマがもっとビルドアップしたんですね。

平野:その瞬間はやっぱりまじかと思いましたけど、最終的には本当諦めなくてよかったし、この不可能な状況を可能にしてくれたのも、周りの家族だったり、ギリギリまでトレーナーの方にケアしてもらったっていうところも大きかったんで、本当に自分の力だけじゃないなって改めてぐっと感じる時間だったなとは思いますね。

「滑り終わった瞬間から次のこと考えてました(笑)」

Q.改めて今回の大会を終えて、多分メダル以上の価値がある瞬間だったのかなっていう気もするんですけど、どうですか。

平野:(過去大会と比べて)今はレベルも全然違うので、競技にかけるリスクも違ければ、さらにそのときはそれがマックスだと言われてて、その次の北京ではこれがマックスだと言われて、今ではトリプルコークを2回、もしくはこれからは3回になってくる。そういう段階になってきてやっぱり限界はないなって感じさせられますし、その中で自分がトップを目指してやる以上は、4年なのか8年なのかって積み重なった年で、そのさらに上のことにチャレンジしなきゃいけないっていうことになってくると、今回は何か終わって生きててよかったなって。そういう心境の違いはすごい大きいかなと思っていて、そのときよりもいろいろ今の方が難しいチャレンジだったと思いますし、競技のレベルもそうですけど、技術レベルというか大会自体のレベルがもうどんどん上がってきてるので、それぞれが自分にプレッシャーかけて、人生削って、今までやってないことにもチャレンジして体鍛えたりとか。いろんなことを踏まえて、ストレス溜めてここまで来てると思うんですけど、オリンピックが終わって、怪我なく無事それぞれが終われただけでも何か今まで以上の解放感があるというか。かなり命がけでそれぞれやってるんだなって見ている人にも伝わった瞬間だと思いますし、生きるか死ぬかみたいなトリックを最後繰り出してたので、本当ここで怪我してもう動けなくなってもいいやぐらいの覚悟は持ってましたし。怪我しなくて本当に無事滑り終われて、悔いなくいい経験ができたなっていうそれに限りますね。でも今回いい試合でしたね、面白い試合だったなと思いますね。

Q.すごい面白かったですよね。

平野:みんなが溜め込んで溜め込んでやってきたことが全部滑りとして出た。最高峰のレベルだったし、誰が勝ってもおかしくない、誰が怪我してもおかしくないというか、決勝のメンツも全員揃ってたんで。また次もすごいことになりそうだなと思いつつ(笑)いろいろ覚悟してやる以上はやっていかないとなっていう。いい経験でしたね。

Q.もう次の気持ちには切り替わってると捉えていいですか。

平野:滑り終わった瞬間から次のこと考えてました(笑)でもこの競技を続けていくことが全てでもないなとかっていう。ジャッジの部分でも、何か新しいことやっても本当にそれが確実に評価されるかわからない。採点の中でも、すごい独特な難しい競技なので、それにこれだけの命をかけて、4年かけていくことがいいのか、もしくは自分の違った人生の中で新しくチャレンジしていった方が自分にとって面白いのかとか。いろいろ先のことに関しても、これが全てじゃないなって同時にすごい感じるところまでは今レベルが上がってきてますし、次の4年は思いだけじゃなくてさらに命がけだと思う。でもやっぱここでチャレンジすることは自分を成長させてくれるなって、できる限りチャレンジしたいなっていう気持ちもあるので、すぐ練習に戻ってちゃんとまたこの経験もプラスに生きるようになるべく早めに開始していきたいなとは思ってます。

Q.毎回トラブルがあって、それでも戦い続けて、成長していって。平野歩夢にとってオリンピックは改めてどんな舞台ですか。

平野:4年っていう時間で区切られてるんで、その4年でどれだけ自分が成長できたかってわかりやすく、自分に返ってくる時間の一つなのかなとも思いますし。あとは普段自分も見慣れないような日本を代表する公式のウェアを着てたり、オリンピックのルールがあったり。毎回特別な思いを感じる場なので、結構自分の中では工夫というか、自分の世界観をそれに負けないぐらい作っていくことがすごい大事。そこで誰もが金メダルを狙ってる世界なので、みんなが負けず嫌いの塊だと思いますし、プライドの塊みたいな選手がトップクラスで集まってる場所なので、それで一番は1人しかいないってなかなか残酷。全世界が注目している場なので、そこで自分が一番って証明したいところですよね。やっぱり採点競技で、サッカーとか野球みたいにわかりやすい採点じゃないので、そこもまた難しいなとは思いますけどね。「グラブ」「高さ」「技」とか伝わりづらい競技なので、もう生きざまを見せるしかない。それだけの思いがある場所で、自分を一番と証明できる世界一の舞台なんじゃないかなっていうのは間違いなくあると思います。

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  • 個人的にはスポーツ(特にアマチュアスポーツ)に命を懸けてはいけないと思う。選手本人が「命懸けでないとメダルが取れない」と思い込むのは勝手だが強要は許されない。
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