法務省=東京都千代田区 売春に対する法規制の抜本的見直しに向け、法務省の有識者検討会(座長=北川佳世子・早大院教授)の議論が始まった。現行の売春防止法は、「売る側」の勧誘行為などを摘発対象とする一方、「買う側」は処罰されない。この不均衡是正が最大の焦点となる。
1956年制定の同法は、売る行為と買う行為の双方を禁じるが、それ自体に罰則は設けていない。処罰対象は、公衆の目に触れる場所での客待ちや勧誘など「売る側」の行為に限定。「買う側」には罰則がない。
法務省幹部は「当時は勧誘行為に罰則を科すことで、女性の保護と更生につなげる狙いがあった」と説明する。ただ、近年は悪質なホストクラブへの借金返済などのため、繁華街の路上で客待ちをする女性の摘発が増加。男性は事実上の野放しになっている現状への批判が強まっている。
24日の初会合で、委員の一人は「買う側の勧誘行為の処罰の要否を検討すべきだ」と主張。「女性の立場を前提とした規制の在り方を再考すべきだ」との指摘もあった。
実態に合わなくなった規定の見直しも論点だ。同法は、売春を「不特定の相手方と性交すること」と定義。性交に至らない類似の性的サービスは対象外となっており、委員からは「行為の範囲を拡大すべきか検討が必要だ」との声が上がる。
議論では、諸外国の制度も参考にする。法務省によると、英国やベルギーは「売る側」と「買う側」の勧誘をいずれも処罰。フランスやスウェーデンは「売る側」を処罰せず、買う行為とその勧誘のみを処罰対象とする。
検討会は今後、当事者や支援団体から意見を聴取し、実態把握を進める方針。法務省は、早ければ今秋に想定される臨時国会での法改正も視野に入れる。