英国のロックバンド「ディープ・パープル」のメンバーと面会する高市早苗首相(左から3人目)=10日、首相官邸 高市早苗首相が、情報発信でX(旧ツイッター)を多用している。本人は、国民にとってSNSが情報収集の重要な手段になっていると理由を説明するが、野党の追及や記者団の質問などを好まず、極力避けようとする姿勢も透ける。
「ディープ・パープルは私の憧れのバンドです。お会いでき、本当にうれしく思います」。首相は10日、大ファンと公言する英国のロックバンドとの対面シーンを投稿。メンバーと笑顔で記念撮影する写真も掲載した。
Xによる首相の発信は多岐にわたる。首相官邸での会議や首脳会談の様子、取り組む政策の内容はもちろん、首相公邸への引っ越しなど私生活も取り上げる。
報道への反論に用いることもある。最近では、イラン情勢の悪化を受けた物資の確保状況や、自身の国会出席に関し、「事実誤認だ」「事実ではない」と相次ぎ投稿。政府関係者は「メディアは一部しか報じてくれない。SNSなら全部伝えることができる」と解説する。
Xへの傾斜と反比例するように、国会出席や記者対応は減少気味だ。当初予算の審議に際し、衆参両院予算委員会への出席は、前任の石破茂氏の約118時間に対し、高市氏は約70時間。就任から5カ月間で、「ぶら下がり」と呼ばれる報道各社の取材機会は、石破氏が57回、高市氏が34回だった。
こうした状況の背景として、自民党内で首相の性格を挙げる向きは多い。ベテランは「他人の話をあまり聞かない」傾向があると指摘。中堅も「部屋に閉じこもって人と会おうとしないところがある」と明かす。
党関係者は「首相が孤立し過ぎている」と政権の先行きを不安視。野党からも「記者会見や国会で国民向けに率直に話したらどうか」(玉木雄一郎・国民民主党代表)との声が上がる。
もっとも、首相自身は意に介す気配がない。記者団に取材機会の少なさを指摘されても「多様な方法をどのように組み合わせて情報発信するのが最も良いか、試行錯誤したい」と述べるにとどめた。