「ナポレオンの肖像画」は“嘘ばかり”だった、誰もが騙されている本当の姿とは

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2026年04月14日 08:20  マイナビニュース

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「名画」と呼ばれる絵画には、思わず誰かに話したくなるような物語が存在します。本記事では、世界中の名画の“裏話”を紹介した『ムンクは何を叫んでいるのか?』(井上馨 著/サンマーク出版 刊)から、一部を編集・抜粋してお届けします。

○作者:ジャック=ルイ・ダヴィッド/マルメゾン城


1800年春、ナポレオンは予備軍を率いてアルプス山脈を越えた。



オーストリア・ロシア連合軍に奪われたチザルピーナ共和国を取り戻すため、敵の裏をかく大胆な作戦だった。



この絵は、その歴史的瞬間を描いた「はず」の作品だ。立派な白馬、ダイナミックなポーズ、勇ましい表情──完璧な英雄の姿がここにある。



しかし、この絵には少なくとも5つの「噓」が隠されている。



1つ目の噓は「白馬」。



実際のナポレオンが乗っていたのは、ラバ(馬とロバの雑種)だった。山道に適した地味な動物であり、白馬なんて危険すぎて使えなかった。



2つ目の噓は「体格」。



ナポレオンの身長は約168センチで小太り。この絵のようなスタイリッシュな体型ではなかった。



そして3つ目の噓は「服装」だ。



悪天候の山越えで、こんな薄いマント1枚のはずがない。実際は地味な灰色の厚いコートに身を包んでいた。



4つ目の噓は「ポーズ」である。



険しい山道で馬を立ち上がらせるなど自殺行為。実際は現地ガイドに導かれ、慎重に進んでいた。



最後、5つ目の噓が「天候」だ。



絵では青空が垣間見えるが、実際は雪と風の悪天候だった。



では、なぜこんな「噓だらけ」の絵が存在するのか?



実はこの絵、ナポレオンが注文したものではない。スペイン王家が、フランスとの親睦の証として制作させた「政治的プレゼント」だった。



贈り物として「ラバに乗った小太りの男が、ガイドに引かれて山を登る図」では失礼すぎる。



だから画家ダヴィッドは、現実を「改良」したのだ。



画面左下の岩に注目してほしい。



「ハンニバル」「カール大帝」そして「ボナパルト(ナポレオン)」の名が刻まれている。アルプスを越えて偉業を成し遂げた歴史的英雄たちだ。つまり、ナポレオンを伝説の偉人と同列に置いているのだ。



面白いのは、ナポレオン本人の反応である。この「噓だらけ」の絵を見た彼は、大喜びした。なんと同じ構図で5枚も描かせたのだ。



現代で言えば、極限まで加工した自撮り写真のようなもの。本人も分かっている。これは現実ではないと。でも、これこそが歴史に残したい自分の姿だと。



英雄は、時に現実よりも神話を選ぶ。



だからこの絵は今も、世界中の美術館で「真実」として飾られている。


Summary

これは、政治的プレゼントのために描かれた絵。真実を描くわけにはいかなかった。


○『ムンクは何を叫んでいるのか?』(井上馨 著/サンマーク出版 刊)


ムンク『叫び』、フェルメール『真珠の耳飾りの少女』、ゴッホ『ひまわり』、モネ『睡蓮』など……



誰もが知っているあの名画のときにせつなく、ときにミステリアスで、ときに驚きに満ちた、誰かに思わず話したくなる物語。



世界には、数えきれないほどの絵画がある。



その正確な数は、誰にもわからない。



ただ、1つだけ確かなことがある。



それは、描かれた絵の数だけ描いた人の人生があり、そして、絵の中にいる人物の数だけ語られていない物語がある、ということだ。



そして、我々はそのほとんどを知らない。



知らないまま、「美しい」「考えさせられる」と言い、分かったつもりで絵を見ているのだ。



だが、額縁の外に目を向けると、そこにはときに、せつなく、悲しく、目を背けたくなるほど壮絶な物語やときに愚直で、切実な愛の物語が隠れている。



ノルウェーの画家・ムンクが描いたかの有名な『叫び』もそのひとつである。



多くの人は、あの絵はムンク自身が頬に手を当てながら叫んでいる絵だと思っている。



ところがあの絵に描かれたムンクは何も叫んでいない。



あれはムンクが耳を塞ぐ様が描かれた絵なのだ。ムンクは叫んだわけではなく、聞いたのである。彼にしか聞こえない「何か」を……。



本書で紹介するのは、そんな絵には描かれていない48の謎に満ちた物語だ。



作者が背負っていた運命。言葉にできなかった思い。



そして、描かれた人物たちが、その一瞬を迎えるまでに歩んだ時間。



それらを知ったとき、あなたはもう以前と同じようにそれらの絵を見られなくなるだろう。



まったく違う絵に見えることすらあるかもしれない。



そしてその話を、あなたは誰かに話さずにはいられなくなるはずだ。



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