製油施設内の石油貯蔵タンク=4月8日、横浜市(AFP時事) 【ニューヨーク時事】米国がイランへの攻撃を開始してから4カ月目に突入し、世界の原油在庫が急減している。これまでは原油輸送の要衝ホルムズ海峡の事実上の封鎖が続く中でも、在庫の取り崩しにより価格上昇が一定の範囲に抑えられてきた。ただ、業界関係者からは、数週間で限界を迎え、価格急騰が始まるとの見方も出ている。
国際エネルギー機関(IEA)によると、世界の石油在庫は3、4月に計2億4600万バレル減少と「記録的なペース」で取り崩された。4月末時点の在庫は約79億バレルで、世界消費量の80日分近いが、供給の2割はホルムズ海峡封鎖で閉じ込められ、見た目ほどの余裕はない。
さらに、パイプラインや貯蔵タンクなど関連インフラ運用のために動かせない在庫も多い。現実的に需給調整に利用できるのは「8億バレル程度」(米銀)との試算もある。
ホルムズ海峡封鎖の影響で、世界最大の産油国の米国からアジアや欧州への輸出が増加し、米国の原油在庫も急速に消失。封鎖直後は出荷が滞り一時的に増えたが、4月以降は大幅な減少が続く。米エネルギー情報局(EIA)の統計では、5月29日までの1週間の戦略石油備蓄(SPR)を含む原油在庫は7億9083万バレルと、約2年4カ月ぶりの低水準だった。
業界の危機感は強い。米石油大手エクソンモービルの幹部は5月末、在庫が「前例のない(低い)水準」に向かっており、「ひとたび到達すれば価格が急騰」して1バレル=160ドルに達する可能性があると予想。それが「2週間後か3週間後なのかは議論の余地がある」と述べたが、近い将来に起き得ると警鐘を鳴らした。
米シェブロンのワース最高経営責任者(CEO)も、供給不足に対する在庫の余力である「バッファー」が消えつつあると指摘。今後「数週間で圧力が価格に波及する」との見通しを示している。