欧州での一連の外交日程を終え、チャーター機で羽田空港に到着した高市早苗首相=18日午後 政府と与野党による「社会保障国民会議」で議論が進む食料品の消費税率引き下げを巡り、高市早苗首相が税率を1%とする議長案を容認する方向に傾いた。ただ、首相は衆院選で公約した税率0%に最後まで固執。給付金を組み合わせて「実質ゼロ」にする苦肉の策で説得され、ようやく首を縦に振ったが、最終決着はなお見通せない。
「スピード感と十分性を確保してほしい」。首相は17日、フランス・アルシャンでの記者会見で、消費税率引き下げについてこう語った。
関係者によると、レジシステム上、数を割れない「0」は特殊な数字だ。税率1%ならレジシステムを半年で改修できるのに対し、0%にこだわれば1年かかるとされる。「スピード感」に言及した首相の発言は、税率1%の議長案に理解を示したとの見方がもっぱらだ。
もっとも、首相が当初から柔軟だったわけではない。税率1%が有力と報じられ始めた6月初めごろ、首相は周辺の問い掛けに「微妙だ」と苦悩を隠さなかった。首相に近い閣僚は「首相は1%は選択しないだろう」と語っていた。
「0%だとレジ改修が間に合わないんです」「そうは言うけど、やったらできるんやないの」「無理です」。関係者によると、首相と霞が関の官僚の間ではこんなやりとりが繰り広げられた。
首相が最終的に折れたのは、1%分を給付として国民に還元すれば、公約違反のそしりは受けないと説得されたからだった。実務者会議議長を務める小野寺五典自民党税制調査会長は首相が欧州3カ国歴訪に出発する前日の12日、首相官邸をひそかに訪ね、税率1%に給付を組み合わせた議長案を説明し、首相から内諾を得た。
政府関係者は「1%案で決まりだ」と語った。
もっとも、今後の展開は読み切れない。小野寺氏は月内の中間取りまとめを目指しているが、議長案に対し、国民会議に参加する野党から「全く議論されていないのに急に示された。この間の議論は一体何だったのか」(国民民主党の古川元久代表代行)などと反発の声が次々に上がった。
自民内からも「1%では内閣支持率に響くだろう」(中堅)との声が漏れ、日本維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)は「1%より半年遅くなるとしても、やり切るべきだ」と助言する。政権関係者は「首相はなお0%に未練があるのではないか。難しい決断を迫られている」と語った。