思春期に膝近くの骨に発生しやすい骨肉腫について、東京大などの研究グループは15日、発症の仕組みをマウスを使った実験で解明したと発表した。成長期に骨を作る骨芽細胞では、増殖を促す働きとがん化を防ぐ働きが均衡を保っているが、このバランスが崩れることで骨肉腫が発生するという。
骨肉腫は、国内で年間約200人が新たに発症する希少がん。患者の多くは10代で、太ももやすねの骨のうち、膝に近い部分にできやすい。しかし、なぜ思春期の特定部位に集中して発生するのかは分かっていなかった。
山田泰広・東大大学院教授らの研究チームは、成長期マウスで、膝近くの長い骨の端にある未熟な骨芽細胞を解析。その結果、身長が伸びる時期にはこの部位の細胞が盛んに分裂し、遺伝情報を担うDNAにも異常が生じやすいことが分かった。一方、異常を検知して細胞の増殖を止める仕組みも同時に働いてがん化を防ぎ、均衡が保たれていた。
チームは次に、骨肉腫など、さまざまながんで異常が多く認められるがん抑制遺伝子「p53」の働きに着目。骨肉腫でよく見られる別のがん遺伝子を活性化させたところ、p53がブレーキ役として働くため異常な細胞増殖は抑えられた。しかし、p53の機能を失わせると、ブレーキが効かなくなって骨肉腫ができ、肺にも転移した。
山田教授は「細胞レベルで骨肉腫の仕組みを示すことができた。今後新たな治療法の開発につながることを期待している」と話している。
論文は英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。